2019 Fiscal Year Research-status Report
家庭用ACアダプタのグラウンド端子の持つ電圧を用いた静電摩擦触覚ディスプレイ
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19K20317
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 邦拓 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (00838922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 触覚ディスプレイ / 静電摩擦 / タッチインタラクション / インタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
静電摩擦を用いた触覚ディスプレイは,静電気力を用いることで表面の滑らかな物体上のテクスチャを制御する技術として着目されている.一方で既存の静電摩擦を用いたディスプレイは電源装置から供給される数百ボルト以上の高電圧を必要としており,日常的に活用されているデバイスへの適用が困難であった.申請者はこれまでに高電圧電源を使用せず家庭用のACアダプタの持つグラウンド端子に,薄い絶縁層を持つ電極を接続することで同様の静電摩擦触覚を提示できることを発見した.本研究は,この触覚提示手法を用いた触覚ディスプレイ開発し,その制御と一般の様々デバイスへの実装を検討する.2019年度では,家庭用ACアダプタのグラウンド端子の持つ電圧を用いた静電摩擦触覚ディスプレイのプロトタイプデバイスの開発を行った.市販のスマートフォン上に,開発した触覚ディスプレイを設置することで,スマートフォンに市販の充電ケーブルとACアダプタを接続するだけで触覚を提示することが可能となった.また,触覚ディスプレイのタッチ箇所を取得するためのセンサ部分や,提示する触覚を制御部分などを合わせて実装している.本研究で開発したプロトタイプデバイスは,国内会議である第27回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2019)にてデモ発表を行い,フィードバックを得た.この他,国際会議である ACM UIST2019 Demo及び,EuroHaptics 2020 Paperへの投稿を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初,計画をしていた開発環境のセットアップ,及びプロトタイプデバイスの開発を完遂させ,国内での学会発表を行った.予定していたよりも早い段階でプロトタイプの実装が終わったため,2020年度に実施する予定であった評価実験の実施を 2019年度から前倒しで進めている.この内容について国際会議への投稿もチャレンジしている段階であるが,採択には至っていないため,評価実験内容を検討し,2020年度も引き続き実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に前倒しで進めていた評価実験内容を一部見直し,引き続き評価実験を実施する予定である.しかし,コロナウィルスの影響により,当初予定していたユーザ実験の実施が後ろ倒しになることが予想されるため,ユーザ評価を必要としない,デバイスの性能評価についても検討する予定である. 2020年度も引き続き学会論文への投稿は引き続き目指す予定であるが,2020年3月以降,コロナウィルスの影響により国内外問わず,多くの学会が中止されていることから,計画通りに投稿・発表までに至らない可能性もある.その場合であっても,Paperとして研究をまとめ,適切な会議に投稿できる段階までは準備を進めていく.また同様の理由から,当初の計画で国内・国際会議への出張費用としていた予算を,消耗品の購入に充て,デバイスの改良,アプリケーションの開発にも力を入れていく予定である.昨年度の段階で開発したプロトタイプは,市販のスマートフォンより一回り大きく,把持しにくいため,小型化を行う.また評価実験から,安定した触覚を提示可能な条件を調査し,それを組み込んだデバイスの開発を行う.
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