2021 Fiscal Year Research-status Report
家庭用ACアダプタのグラウンド端子の持つ電圧を用いた静電摩擦触覚ディスプレイ
Project/Area Number |
19K20317
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 邦拓 東京工科大学, メディア学部, 助教 (00838922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 触覚ディスプレイ / モバイルデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
静電摩擦を用いた触覚ディスプレイは、静電気力を用いることで表面の滑らかな物体上のテクスチャを制御する技術として着目されている。一方で既存の静電摩擦を用いたディスプレイは電源装置から供給される数百ボルト以上の高電圧を必要としており、日常的に活用されているデバイスへの適用が困難であった。本研究では、高電圧電源を使用せず家庭用のACアダプタの持つグラウンド端子に、薄い絶縁層を持つ電極を接続することで同様の静電摩擦触覚を提示可能であることを活用し、モバイルデバイス上への実装を行った。一般的に静電摩擦を用いた触覚ディスプレイにより提示する感覚は、電極に対して印加する交流電圧の周波数によって制御可能である。本研究課題による触覚提示手法では、家庭用のACアダプタを用いることで触覚を提示するが、触覚の変調を行わず、そのまま触覚提示を行った場合、その周波数は国内のコンセントから得られる交流電流の周波数に一致することがわかった(東日本地区では50Hz、西日本地区では 60Hzとなる)。本研究ではリレーを用いたチョッパ制御により、ベースとなる周波数50-60Hzの触覚から、異なる触覚提示を実現するデバイスを実現した。実験では、チョッパ制御におけるON-OFFのDuty比、及び周波数を変更することで、ユーザに対して異なる触覚を提示可能であるかを調査した。実験結果からは、特にDuty比の変化によって異なる触覚として提示可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発したデバイスを用いた評価により、異なる触覚提示が可能であることを示した。作業内容としては、概ね達成できたと考えられる。現状の課題としては、ユーザが知覚可能な触覚の変化(分解能)が小さいことから、触覚の制御方法の改善を検討する必要があると考える。また、本研究による触覚提示手法を用いたアプリケーションの開発と、ユーザビリティに関する調査を行う必要があると考えている。次年度は、さらなるデバイスの改良、および追加の評価について取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策としては、引き続きデバイスの改良および、ユーザを対象とした実験の実施を検討する。評価実験を行う。現状では、特定の周波数・Duty比を用いた触覚の変化についてのみ調査を行っていたが、今後は更に対象のパラメータを増やし、再度調査を行う。またスマートフォン上に実装した触覚提示デバイスを用いたアプリケーションの開発を行い、ユーザビリティ調査についても検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で、学会の現地での開催がキャンセルされ航空運賃や宿泊費の使用が無くなったため次年度使用額が生じた。令和4年度も、学会の現地開催がされなければ、評価実験を円滑にするためのデバイスの追加開発の費用に使用する。
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