2020 Fiscal Year Research-status Report
頭部装着型ディスプレイ上に提示された情報が人の心身へ与える影響の解明
Project/Area Number |
19K20323
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
磯山 直也 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70742021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウェアラブルコンピューティング / HMD / スマートグラス / 認知心理 / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,頭部装着型ディスプレイ(HMD)上の提示がユーザの心身へと与える影響を明らかにすることを目的としている.HMDを利用する際には,ユーザはこれまでとは異なった環境で視覚情報を閲覧することになる.スマートグラスを用いて歩行などを行っている移動中に視覚情報を閲覧したり,Augmented Reality (AR) によって実世界上では配置されることのない場所に配置されたオブジェクトを閲覧したり,Virtual Reality (VR) によって違う場所に居るように感じられる映像を閲覧したりすることになる.これまでに視覚情報による人の行動や思考を変化させる影響は調査されてきたが,このような環境では異なる影響を与える可能性があるために調査を行う必要がある. 2020年度は,スマートグラスに関して,再生速度を変化させた動画を提示し,視聴させた後に,ユーザの作業速度が変化するかどうかについて調査した.調査は,静止しながら再生速度の異なる動画を視聴した際の影響,VR環境で実世界を模した映像を視聴しつつエルゴメータを漕がせた際に提示する人のアニメーションの速度の変化による影響,歩行しながらスマートグラスで映像を見た際の影響について調査を行った.その結果,速い速度の映像を視聴させた後は,作業の速度も向上することが確認できた. また,本研究はARによる提示による影響に関する調査も必要であると考え,実験を進めた.AR提示として,道路上などに配置されたARオブジェクトがユーザの歩行に対してどのような影響を与えるかについて調査を行い,実際に実世界上に置かれたオブジェクトとはユーザの歩行経路に変化が生じることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再生速度を変化させた映像を閲覧した後の作業速度に関する影響の調査を進め,研究成果をまとめたものを,インタラクション領域で国内最大規模の会議であるインタラクション2021,人間拡張の分野での重要会議であるAugmented Humans 2021において発表を行った.AR提示による歩行への影響に関する研究成果に関してまとめた論文を英文ジャーナルに投稿し,採録された.
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Strategy for Future Research Activity |
提示する映像の再生速度を変化させた際に,閲覧後のユーザの作業速度や行動などの与える影響について分析を進め,研究内容についてまとめていく. また,スマートグラス上に提示された映像はユーザに与える影響について更に調査を進めていく.具体的にはユーザの行動を認識し,その認識結果に応じた情報を提示することで,ユーザの行動に影響が与えられることが考えられる.どのような影響が有りえるのか,悪影響はないのか,について調査していく.
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Causes of Carryover |
参加予定であったインタラクション2021及び,Augmented Humans 2021が,どちらも新型コロナウイルスのためにオンライン開催となった.そのため,予定していた旅費を使用せず,次年度使用額が生じた.2021年度は論文投稿を行うこと,被験者を増やして謝金を支払うこと,解析用のPCを購入すること,スマートグラスによる違いの評価のために複数の機材を購入することに使用する予定である.
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Research Products
(6 results)