2020 Fiscal Year Research-status Report
左右鼻孔間距離の能動的操作によるニオイ源定位能力拡張システム
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19K20329
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
永谷 直久 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (10636418)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嗅覚知覚 / 上気道モデル / 3Dプリント / 流体可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の最終年度(2年目)であった2020年度は、新型コロナウィルスの蔓延により、被験者を用いたニオイ提示実験の実施が困難になったため、被験者を極力用いない手法による研究実施方法へと転換を行なった。 具体的には、外鼻孔周辺および呼吸器系内の気流が呼吸によってどのように時間変化するのかの流体構造の解析を行うために、鼻腔や咽頭などの上気道呼吸器系構造を有した呼吸ロボットの開発を行うための設計・試作を行なった。精巧な呼吸器系を有した呼吸ロボットの開発は、生体内への適用が難しい粒子画像流速測定法(PIV:Particle Image Velocimetry)による呼吸器内の動画像解析を容易にするだけでなく、生体では正確に統制することが困難な呼吸間隔および吸気時間と呼気時間の割合を一定にすることや、吸気量や流速が制御可能となるため、同一条件における解析結果の精度向上につながると考えている。 試作した呼吸ロボットは、換気方式として電動ポンプや横隔膜を模したダイヤフラム型の機構ではなく、換気量の時間変化を簡単に制御するために、シリンダを複数本組み合わせる方式を採用した。シリンダはサーボモータとラックアンドピニオン機構による直線動作システムで動作し、複数のシリンダを個別に電気的に制御できる構成とした。上気道構造の造形は、光造形型の3Dプリンタを用いて行い、造形可能サイズの制約などから成人男性の平均サイズよりも小さいサイズのものを試作した。 研究計画および実施内容の修正を行なったため、本課題の1年間の補助事業期間延長を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の被験者を用いたアプローチが困難となり、研究計画の見直しを行なったため、当初の計画からは遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
呼吸に伴うニオイ物質の伝搬過程において、外鼻孔周辺の組織形状がどのように影響するのかを明らかにするために、被験者を極力用いない手法として精巧な鼻腔や咽頭などの上気道呼吸器系構造を有した呼吸ロボットの開発を行う研究推進方策へと実施方針の転換を行なった。 1年間の研究期間延長により、最終年度となる2021年度では、2020年度試作を行なったヒトの上気道機構を模した換気システムを用いて、鼻腔および外鼻孔周辺組織の形状による外気の吸入領域への影響などを調査する。
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Causes of Carryover |
研究計画の修正を行い、1年間の補助事業延長申請を行なったため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、主に呼吸ロボット開発のための物品費と研究発表費用などに使用する計画である。
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