2020 Fiscal Year Research-status Report
敵対的生成ネットワークを用いたノイズ除去手法の開発と生体信号への応用
Project/Area Number |
19K20334
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 和正 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (60817112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械学習 / ノイズ除去 / 生体信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
簡易脳波計を用いて計測した睡眠時の前頭部脳波を対象とし,非機械学習的なノイズ除去手法について検討した. 一般に,臨床を目的とした生体信号計測ではノイズの混入に備え電極を複数(通常は左右ペア)設置して計測を行っている.医師・技師は,ノイズが含まれている信号は無視し,クリアに計測できた信号のみを用いることで,ノイズに対して頑健な診断を実現している. 昨年度の研究では,この操作を弱モデルのアンサンブルの形で実現し,その効果について検討した. 作成した診断システムは,入力信号の組み合わせが異なる複数の深層学習モデル(弱モデル)の多数決で診断を行うもので,ノイズが含まれる信号を使用する弱モデルを多数決から除外することでノイズを無視した診断を実行できる. 実際に睡眠ステージ判定を対象とした実験では,ノイズを含む信号に対しての判定精度が20%以上向上し,その有用性が示された. 本内容については,他の一般的なノイズ除去手法との比較検討を行ったうえで,論文化する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の提案では,敵対的生成ネットワーク等のスタイル変換を用いた深層学習によるノイズ除去をテーマとしていたが,昨年度は比較対象となる非学習的なノイズ除去手法関連に終始してしまった. 大きな問題の一つとしては,ノイズが含まれるサンプルがあまり手に入らなかった点がある.簡易計測計かつ家庭での計測であるにもかかわらず,明瞭にノイズが含まれる睡眠時脳波は,500件中10件程度であった.機械学習的なアプローチをとるには学習サンプルが非常に少なく,当初の提案通りの研究を行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
機械学習的なノイズ除去について実験・検討を進める.ノイズを含んだ学習サンプルの数が少ないという問題に関しては,計測回数の追加やわざと接触不良の状態での計測を実行することで対応する予定である. 具体的な手法については,当初の計画であった敵対的生成ネットワークによるアプローチの他に,アテンションを用いた誘導電極の選択機構について検討する予定である. 一般に,臨床における生体信号の計測では,信号にノイズが含まれた場合に備えて左右ペアでの計測が行われている.技師はよりノイズが含まれていない信号を選択して診断をしており,これを機械学習的に再現するアプローチを考えている.
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Causes of Carryover |
物品購入費と旅費が未使用だったため,次年度使用額が生じている.当初の計画とは異なり,他の研究プロジェクトで使用している簡易計測計を使用したこと,コロナにより国際会議がオンライン化されたことなどが理由である. 使用計画としては,深層学習計算に用いる計算機・研究活動用のノートPCの購入や,生体信号計測時の被験者謝金・研究補助者への人件費としての利用を検討している.
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