2021 Fiscal Year Research-status Report
敵対的生成ネットワークを用いたノイズ除去手法の開発と生体信号への応用
Project/Area Number |
19K20334
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 和正 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (60817112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機械学習 / ノイズ除去 / 生体信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナに伴い,生体信号の新規計測が困難になったことから,対象とする生体信号を他の研究ですでに計測・使用している睡眠時脳波に変更した.睡眠の臨床では,脳波から睡眠ステージ(状態・レム睡眠等)を判定する検査が良く行われており,労力削減の観点から自動判定手法の開発が行われている. これらの手法は,深層学習をベースとしており,高い判定精度を有している一方,ノイズや個人差による信号の変化が判定精度に影響を与えることがあった.本研究では,判定精度低下につながる脳波成分を除去・軽減することを最終的な応用の目標とし,深層学習に基づく生体信号の前処理手法の開発を行った. 2021年度の研究では,当初予定していたGANベースの手法では睡眠時脳波への対応が困難であることが明らかになった.筋電位のノイズとは異なり,睡眠時脳波はノイズと特徴波(ステージ判定に有用な脳波計)がよく似ており,修正量の最小化を損失関数の一部とするとこの二つを同じ波形として処理してしまう.この問題に対応すべく,モデル全体の構成と損失関数を考慮しなおす必要が出てきた. 上記の結果を踏まえ,入出力信号差の最小化を用いない信号変換手法としてエンコーダ・デコーダ型のスタイル変換モデルに注目,2021年度はこのモデルの開発と性能の評価に注力した.開発中のモデルは,現在,ステージ判定に不要と思われる一部の波形が抑制される傾向が確認できたものの,一部の特徴波の再現が難しい,特定の特徴波と重なるようにノイズが出現するといった課題を抱えており,実用可能なレベルには至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナに伴い,生体信号の計測が困難となったため. 対象信号を変更,既存研究で使用した睡眠時脳波を用いることで 研究活動を再開できたものの,まだ影響が残っている. 特に,睡眠時脳波の場合,診断に用いる脳波とドリフトがよく似ており, GANを基にした従来のアイデア・モデルでは対応できないことが判明した. 本問題の解決に予定よりも時間がかかっている.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に開発したスタイル変換ベースのモデルをさらに改善する.提案手法は,0.5~2Hzの脳波の再現・変換が不得意であることが実験的に確認できている.畳み込みレイヤーの調整・前処理の追加等により,これら低周波の脳波に対する再現性の改善を目指す. また,既存の睡眠ステージ自動判定手法に対して適用した場合の有効性についてまだ検証ができていない.具体的な応用と有用性の検証を行ったうえで,国際会議や論文の形で公表したい.
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Causes of Carryover |
コロナや研究状況に伴う計画変更に伴い,必要な研究資材に変更が生じたため. また,コロナに伴う国際学会のオンライン化により,必要な旅費に変更が生じたため. 次年度は,コロナの感染状況と学会の開催状況に応じ,旅費や人件費として使用する予定.
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