2022 Fiscal Year Annual Research Report
敵対的生成ネットワークを用いたノイズ除去手法の開発と生体信号への応用
Project/Area Number |
19K20334
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 和正 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (60817112)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 機械学習 / ノイズ除去 / 生体信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,生体信号の認識精度を低下させるノイズを除去する深層学習手法の開発・提案を行っている.生体信号中のノイズは,信号部と主要な周波数が一致したり,ノイズのみ独立に計測できないことから,従来手法の適用が困難な場合があった.ここでは,敵対的生成ネットワーク(GANs)やオートエンコーダといった,学習にお手本となる入出力のペアを必要としない深層学習モデルを用いることでこれらの問題の解決を図っている. 最終年度であるR4年度は,オートエンコーダをベースとしたノイズ除去手法の開発・実験を行った.本モデルは,エンコーダを用い生の生体信号を複数の特徴量時系列ベクトルに変換,生体信号認識に不要なベクトルの要素をすべて0としたうえで復元することで,認識に不要な要素=ノイズを除去することを意図している.なお,生体信号認識に不要なベクトルの判定に際しては,特徴量時系列ベクトルを入力として用いる認識モデルを作成し,入力としてどのベクトルが重要かをステップダウンを通じて決定している. 本手法を生体信号からの睡眠ステージ判定課題に適用,性能評価実験を行ったところ,実用上の課題が複数見つかった.例えば,ステージ判定に必要な波形(特徴波)を,複数の特徴量ベクトルの和として表現していた.この場合,特徴波に関わる全ての特徴ベクトルがなくてもステージ判定が行えてしまうため,ステップダウンでは残すべき特徴量ベクトルを判断できないことが判明した. 研究全体としては,GANsやオートエンコーダベースの新規ノイズ除去手法を提案,生体信号に含まれる定常的なノイズの除去を達成した.一方,非定常のノイズ除去が難しい,生体信号認識システムの前処理として利用しても,判定精度の向上につながらないといった問題もある.今後はこれらの問題を引き続き検討・解決を目指す所存である.
|