2021 Fiscal Year Research-status Report
結合振動子系における独立ノイズ誘起のカオス同期現象の研究
Project/Area Number |
19K20360
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
奥村 圭司 一橋大学, 経済研究所, 助教 (60710530)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | リズム / カオス / 同期現象 / ノイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
同期現象とは,自律的なリズムが相互作用などによって自然にそろう現象である。とくに,電子回路やニューロンがカオス的なリズムでそろうこともあり,カオス同期とよばれている。非結合系のカオス振動子は外部からの共通ノイズにより誘起されカオス同期することがある。これに対して,本研究の目的は,結合振動子系においても独立ノイズがカオス同期を誘起する場合があることを理論的に明らかにすること,また,両者の性質を比較して体系的に捉えることである。これまでに,平均場結合するリミットサイクル振動子に独立なノイズが作用する場合の可解な確率モデルを提案した。このモデルについて,独立ノイズの強度をパラメータとして数値解析を行い,周期倍化ルートにより結合振動子系においてもノイズ誘起のカオス同期が生じることを明らかにした。また,Heun法などによるシミュレーションを行い,カオス同期における個々の振動子の性質や同期の持続時間などについて解析を行った。 2021年度は,他の研究者による非結合振動子系での先行研究との比較を行いやすくするため,上記モデルのパラメータ空間を探索することで,位相を定義しやすい別の可解な確率モデルを得られないかの検討を行った。しかし,現在の可解モデルに対する理論的枠組みでは困難であることが判明した。一方,ノイズ誘起カオス同期全体にわたる体系的な理解へとつなげるため,同期状態の定義を再考する取り組みも行い,同期度合いとノイズ作用下での振動子分布の分散との関係性に着目した解析について初歩的な結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所内業務として研究所基幹サーバ群の管理・運用を行っているが,サーバ移行やセキュリティ向上の必要性から多忙となり,十分な研究時間を得ることが出来なかった。そのため,研究成果を論文としてまとめられておらず,遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
事業期間延長の申請を行い,令和4年度まで研究期間延長が承認されているため,引き続き,同期度合いなどの指標を通した,結合系・非結合系でのノイズ誘起カオス同期の体系的理解を進める。また,未発表の研究成果についても早急に論文としてまとめる。
|
Causes of Carryover |
所内業務多忙により研究成果を論文としてまとめる時間が十分に取れず,英文校正費や出版費用が未使用となったため。2022年度は残った費用を活用して積極的に論文投稿を行う。
|