2019 Fiscal Year Research-status Report
自律ロボットの認知状態提示によるインタラクション支援
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19K20368
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福田 悠人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70782291)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自律移動ロボットの内部状態提示 / 人とロボットの協調移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
自律的にロボットが環境中を移動する場面において,ロボットのどのようや振る舞いや提示が周囲の人々との協調した移動を可能にするかについて調査した.自律的に障害物や人をよけ目的地まで進む車いすロボットを開発した.車いすロボットの内部状態を提示する手法として,ナビゲータロボットにジェスチャによる提示法,プロジェクタによる映像の提示法,ウインカによる信号の提示法を実装し,比較実験を行った. 実験ではまず,ロボットが次にどちらに移動するかを示す,進路提示手法として,それぞれの提示手法がどのように有効であるかを評価した.提示手法の違いによる車いすの進路の予期のしやすさには,アンケートによる調査では有意な差はなかった.しかし,ナビゲータロボットのジェスチャによる提示では,車いすの搭乗者や同伴者の視線を次の進路方向へ誘導する効果が他の手法に比べ優位に大きかった.これは,周囲を確認することをサポートしていると考えられ,安全,安心した移動においてロボットを用いる有用性を確認できた. さらに,ナビゲータロボットの身体性の活用法を検討し,ロボットの振る舞いのモデルを2 種類作成し,その効果について比較実験を行った.その結果,移動方向指示の際にロボットの身体が移動方向を向いているBody-Torque モデルでは,Face-To-Faceモデル(身体を搭乗者方向に向けて方向指示を行うモデル)に比べ,適切なタイミングで搭乗者,同伴者の視線方向を制御可能であることを明らかにした. また,ロボットの認知状態を伝達する方法として歩行者や障害物を検出し,ナビゲータロボットの視線や指差しを用いて周囲の人々に伝えるシステムのプロトタイプを開発した.視線配布の有無で比較実験を行い,自律移動ロボットが人とすれ違う際には,ロボットによるその人への視線が安心感を与えることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は主に自律移動ロボットにおける内部状態,認知状態提示手法について検討した.これについては,ナビゲータロボットによる状態提示が協調移動の助けとなることや,すれ違い時に周囲の人々へ安心感を与えることの知見を得ることができた.ただし,歩行者や障害物の認識状態をナビゲータロボットを用いて提示する手法については,その他の手法との定量的な比較実験による評価はまだ行えていない.そのため,モダリティの異なる提示手法(音声やプロジェクタによる提示などを検討している)と比較する必要があると考えている.ロボットの対話タスクにおける内部状態,認知状態提示の効果についても検討する予定である.これについては,実験者の支援により,システム利用者との簡単な対話を行うことができる対話ロボットシステムを作成しており,予定通りに進行している. 以上のことから,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,自律ロボットの移動タスクにおける定量的な比較実験と,対話タスクにおける本提案の検討をすすめる.移動タスクでの提示手法の評価には実験アンケートだけでなく,社会学の手法を用いる.実験時のビデオ映像の分析により被験者の振舞いの変化などを観察し,提案手法が協調的で安心できる移動にどのように寄与するかを評価する.また対話タスクにおける検討では,周囲の物体や環境についての対話が対象となる.ロボットが環境内を移動するタスクの場合と比べて,対話タスクでは少数の利用者で複雑なタスクを行うことになり,内部状態,認識状態の提示方法についても,移動タスクの場合より詳細な情報を提示する必要もあると考えられる.そのため,まずはロボットによる物体指示など簡単な対話タスクから検討を進める予定である.
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Causes of Carryover |
購入を予定していたコミュニケーションロボットを別プロジェクトの研究予算から購入することができたため.また,使用計画については画像処理用の高性能PCやセンサ類に使用することを計画している.
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Remarks |
情報処理学会論文誌に本課題に関する論文を1件投稿中.
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Research Products
(1 results)