2021 Fiscal Year Research-status Report
自律ロボットの認知状態提示によるインタラクション支援
Project/Area Number |
19K20368
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
福田 悠人 群馬大学, 大学院理工学府, 特任准教授 (70782291)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自律移動ロボットの内部状態提示 / 人とロボットの協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人とロボットの円滑なインタラクションの実現を目的とし,ロボットの環境の認識状態や行動選択を含めた内部状態を,周囲の人々に提示する手法の検討を行っている.また提示すべき情報や最適な提示方法はロボットが活動するシチュエーションによっても異なるため,本研究では,自律移動可能なロボットが人と同じ空間を移動するシーンと,人とロボットが環境の物体に対して対話を行うシーンを対象と研究を進めている. 令和3年度は,目的地へ自律移動する車いすロボットが人を乗せて環境中を移動するシーンにおいて,車いすロボットにエージェントロボットを設置して,そのジェスチャを用いて車いすロボットの認識状態を提示する手法を開発し,その効果を検証する実験を行った.実験では,エージェントロボットと車いすロボットの認識状態を記号やアイコンを用いて視覚的に搭乗者に提示する方法と比較した.アンケートによる調査の結果,どちらの提示手法を用いても移動ロボットの認識状態を搭乗者や周囲の歩行者へ伝達できていたことを確認した.エージェントロボットのジェスチャによる提示と記号やアイコンをプロジェクタを用いた提示の比較では,記号やアイコンによる提示手法の方が認識対象物を正確に伝える効果が大きかった.またエージェントロボットの効果としては,ジェスチャによる対象物への視線誘導効果やロボットへの親しみやすさへの効果を確認できた.まとめとして,提示手法を採用する場合には,それぞれの特性を考慮して提示手法を選択,組合わせることが有効であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は,自律ロボットの移動タスクにおける定量的な比較実験を実施し,評価を行った.また,対話タスクにおいて人とロボットの間のインタラクションにおいて対話がうまく進まないシーンでの検証実験を実施する計画であった.しかし,研究代表者の異動に伴う職務の変更や,前年度に引き続きまん延している新型コロナウイルスの影響により,この実験については実施することが困難であった.令和3年度までの活動により,実質的な実験の準備やシステムの開発については進められているが,評価の実験や学術的成果という面では昨今の事情により進めることが困難であったため,「遅れている」と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
人とロボットの間のインタラクションにおいて対話がうまく進まないシーンの検討を行う.人とロボットが環境中の対象物について対話を行うようなシーンでは,ロボットの対象物体に対する認識の成否は,対話の成否に大きく影響する.認識技術の性能は今後さらに向上するが,どのような環境でも間違えることなく物体を認識することは難しいことが想定される.そのため,ロボットが誤った環境対象物への認識をしている状況においても,認識状態の提示を行うことで対話の成立や継続が可能かなど,人とロボットの対話に与える影響を調査する.前年度までの活動により,ユーザとの対話を行うための基盤システムを実装しており,移動タスクの場合と同様に評価実験を進める.ただし実験については,昨今の感染症の感染拡大の状況によっては,録画した映像を用いた比較実験の方法を検討して,研究を進める.本研究では,移動タスクのシーンと対話タスクのシーンを直接的に比較するようなことはしないが,それぞれのシーンでどういった情報が対話を進めるための資源となり,どのようにコミュニケーションが行われているかを分析し,新しいシステムやインタフェースの可能性について示すことまでを進めていく.
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Causes of Carryover |
実験参加者のための謝金としての使用を検討していたが,研究代表者の異動に伴う職務の変更や昨今の新型コロナウイルスの感染状況の事情により実施が困難であったため,研究期間を延長し,次年度に繰り越して使用することとした.
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