2020 Fiscal Year Research-status Report
不安定な搭乗型機器上でのヒューマノイドの拡張型バランス安定化と移動形態の可変構成
Project/Area Number |
19K20373
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 航平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (50839230)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ヒューマノイドロボット / 搭乗型機器 / 拡張型バランス安定化制御 / 回転傾斜面 / シーソー・倒立振子モデル / バランス安定化 / セグウェイ / 不安定性の解消 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,不安定な搭乗型機器上でのヒューマノイドの行動実現の拡張と検証を目的として,ヒューマノイドロボットのバランス安定化に加えてロボットが搭乗する環境のバランス安定化も同時に実現する拡張型バランス安定化制御を提案し実装を行った. ぐらつく床や一輪セグウェイのような回転を伴うロボットが搭乗する傾斜環境を回転傾斜面と定義し,ヒューマノイドロボットと回転傾斜面をそれぞれ倒立振子とシーソーに表現したシーソー・倒立振子モデルとして一般化することで拡張型バランス安定化制御を実現した. シーソー・倒立振子モデルに基づく一般化により異なる回転傾斜面においても共通的にバランス安定化が適用可能であり,一輪セグウェイのように乗り物への適用も有用な点が特長である. 本課題の解決を図ることで,汎用性の高いヒューマノイドロボットが扱える搭乗機器の形態拡張への貢献につながり,ロボットが搭乗機器を扱う行動実現の研究において安定な搭乗機器から不安定な搭乗機器へと制御対象が発展していく. また,人間でもバランス維持が難しい平衡感覚が要求される課題に対して制御方策のアプローチで解を与えることで,ヒューマノイドロボットがよりロバストに振る舞えるためのバランス制御の拡張と方策を陽に理解することが可能となった. 当該成果における課題設定では,ヒューマノイドロボットの支持領域が限りなく小さくなる場合でもロバストに姿勢維持できる点に寄与される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の取り組みとして,ヒューマノイド及び不安定な搭乗型機器の系全体を安定化することが可能な拡張型バランス安定化を確立しており,研究課題として設定しているテーマに沿った研究遂行となっている. 異なる不安定な搭乗型機器に対しても共通に適用可能なシーソー・倒立振子モデルに基づく一般化により制御方策を明示的に示している. 当該成果は査読付き国内会議において発表している. また,前年度の成果である,安定余裕最大化と転倒防止機能に基づく二脚ロボットの受動車輪を活用した遊脚の存在しない移動法に関して査読付き学会誌論文に採択されており,前年度に報告した学会発表に対して研究奨励賞を受賞している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として,左右方向の拡張型バランス安定化以外に前後方向のバランス安定化に対しても拡張可能な制御方策の確立と行動実現に取り組んでいく. また,現状の拡張型バランス安定化制御は不安定な搭乗型機器の支点が点接触や線接触のように限りなく小さくなるにつれて安定化が困難になることから,平衡点から離れるほど不安定になる近似線形化を用いない非線形フィードバックによる厳密な線形化の検討,およびバランス安定化に要求されるロボットの出力や制御周期の限界値の見積り等が今後の対応策となる.
|
Causes of Carryover |
当該年度においては,COVID-19の影響によるオンライン開催での学会参加により旅費の支出が生じなかったことや,在宅作業での研究遂行により物品費の支出についても少なくなったことから次年度使用額が生じた. 次年度の使用計画として,COVID-19による情勢を踏まえながらヒューマノイドロボット実機を使用した実環境での実験を推進し始め,実機実験で想定され得るロボット修理費や交換パーツの予備費等に割り当てる予定である.
|