2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a sticker visualizing exercise speed for the sports leader
Project/Area Number |
19K20389
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
大高 洸輝 広島商船高等専門学校, その他部局等, 講師 (80735655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空間フィルタリング / 視覚シミュレーション / 視覚実験 / 運動鮮鋭化 / 視覚のインパルス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,スポーツ指導者がその場で容易に選手の運動速度を定量的に把握するために,運動速度によって知覚される模様が変化するステッカーを開発することを目的としている. 令和3年度は,前年度に構築した視覚シミュレータを用いて,移動時に視覚によって強調されて知覚される(運動鮮鋭化現象)像は,静止状態ではどのような像であるのか推定することに取り組んだ.これによって,「開発するステッカーにどのような模様を印刷すれば運動速度に応じて模様が変化するのか」に関する知見が得られる. 移動している対象の静止時の像を予測するにあたって,まず,視覚シミュレータによるシミュレーションを行い,次に視覚実験によってシミュレーション結果を検証した. シミュレーションでは,[A]クローバーを模した図形および[B]棒状の矩形を対象とした.[A]の図形は平行移動中,[B]の図形は回転運動中と想定し,それぞれ一定速度で一定方向に移動することを前提として,視覚のインパルス応答を表す関数を用いた空間フィルタリング処理を行った.視覚のインパルス応答は,運動鮮鋭化現象をもたらすとされている.処理対象は8ビットモノクロ画像とした. 視覚実験では,シミュレーションの際の想定移動速度をパラメータとして,視覚シミュレータによって予測された像(シミュレータの出力画像)を運動([A]は平行移動,[B]は回転)させた像と移動時の像(シミュレータへの入力画像)が近い見えになるかどうか比較した. 結果として,移動時に図形の形状が明瞭に見える(クローバーを模した形状や棒状の矩形に見える)ためには,静止状態では図形に「ぶれ」のような縞模様が現れており,想定する移動速度が速いほど縞模様の間隔は広くなり,さらに縞がより顕著になることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は,運動鮮鋭化現象によって強調されて知覚した像について,強調される前(静止時)の像を予測することに取り組んだ.視覚シミュレータによるシミュレーションおよび視覚実験によってシミュレーション結果を検証した.視覚実験では,視覚シミュレータによって予測された像(シミュレータの出力画像)を移動させた際,移動時の像(シミュレータへの入力画像)と近い見えになるかどうか比較した.この比較を行うとき,当初は眼球運動計測をあわせて行い,観察対象の注視領域についても解析する予定であった.当該年度に実施した視覚実験では,対象の注視領域解析とシミュレーション結果の検証を分けて行うこととして,観察対象に注視点を設置して注視する領域をある程度限定した.これによって,眼球運動測定装置の購入は見送った.また,観察対象には,平行移動する図形と回転する図形を想定してシミュレーションおよび視覚実験したが, 回転図形を扱えるように視覚シミュレータを拡張する必要があった.そのため,想定よりも時間を要し,ステッカーの試作およびステッカーの有用性の検証まで至らなかった.これによって,ラベルプリンタの購入は見送った. 以上より遅れていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に,視覚による強調前の像に関する知見が得られたため,この像を印刷したステッカーを試作する.また,開発するステッカーにどのような模様が適しているか検討し,スポーツ指導時に試用してその有用性を検証する.ステッカー模様の適性の検討およびスポーツ指導時の有用性検証について,いずれも,遅れの影響を考慮して選択肢や種目を絞って実施する予定である.
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Causes of Carryover |
令和3年度において,観察対象に回転図形を追加したことによって視覚シミュレータを拡張する必要が生じた.これによって想定以上の時間を要したことから,ステッカー試作に至らなかった.また,視覚実験では,シミュレーション結果の検証と観察対象の注視領域の解析を分けて行うこととしたため眼球運動の計測が不要となった.そのため,主に眼球運動計測装置,ラベルプリンタの購入を予定していた物品費の使用額が抑制される結果となった.また,新型コロナウイルス感染症の影響を受け,研究打ち合わせや学会等がオンラインで実施され旅費の使用額も抑制された. 令和4年度は,眼球運動計測装置およびラベルプリンタを購入し,観察対象の注視領域の解析とステッカーの試作を行う予定である.また,スポーツ指導時におけるステッカーの有用性を検証する予定である.このときにも,ステッカーの貼り付け位置の検討などで眼球運動計測装置を使用することが考えられる.
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