2019 Fiscal Year Research-status Report
統計的論理関係解析法に基づく機能未知遺伝子の機能推定
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19K20395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福永 津嵩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (80791433)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多重検定補正 / 機能未知遺伝子 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、統計的に有意に頻出する三遺伝子間の論理関係を発見する事で遺伝子機能推定を行う、「統計的論理関係解析法」を利用して、機能未知遺伝子の機能推定を行う事が研究目的である。今年度の研究成果は下記の通りである。(1) 三項間論理関係を抽出するソフトウェアであるLogicome Profilerを開発した。Logicome Profilerは多重検定補正法としてBonferroni法かBenjamini-Yekutieli法を利用可能である。Logicome Profilerを大規模な海洋メタゲノムデータセットに適用したところ、光合成に関与する統計的論理関係が多く検出された。Logicome Profilerは現在論文投稿中である。(2) 多重検定補正法として有力な補正法であるTarone法に着目し、その応用研究を行なった。具体的には、転写因子結合部位特異的に頻出する配列モチーフをTarone法の補正の下で検出するMochiMul法を作成した。シミュレーションデータに適用したところ、MochiMulはBonferroni法による多重検定補正に比べて高い検出力をもっていることが明らかとなった。またChIP-seq法により得られた実際の配列データに対して適用した結果、既存で発見されているモチーフを含めた多様なモチーフを検出することに成功した。本研究は現在論文準備中である。今後の研究として、Tarone法を遺伝子関係の研究に応用することを構想している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初構想していたアルゴリズムに不備が見つかりLogicome Profilerの論文投稿に遅れが見られたものの、本年度中に無事投稿までたどり着いた点と、多重検定補正法の下配列モチーフを検出するソフトウェアであるMochiMulの開発に成功したという点から、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Logicome Profiler論文及びMochiMul論文の受理を目指す。その後、Logicome Profilerについてはより感度の高い検定が可能であるかを考察する。MochiMulについては、closed pattern miningとの統合や、頻出するモチーフのペアを仮説検定により検出する機能の追加などをはじめソフトウェアの拡張を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
2019年度は、当初計画していたLogicome Profilerのアルゴリズムにおいて欠陥があることを発見し、その対応に追われたため、発表予定であった国際学会への発表をキャンセルし、また論文投稿が遅れることとなった。そのため、国際学会への参加費用や論文掲載費などを使用しなくなったため、次年度使用額が生じた。2019年度の余剰分に関しては、2020年度の国際学会参加及び論文掲載費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)