2019 Fiscal Year Research-status Report
がん代謝パスウェイにおける発現変化に基づいたドライバー変異遺伝子の同定解析
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19K20397
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
凌 一葦 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (70804540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がんゲノム / 代謝パスウェイ / 変異遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
かんが無秩序な細胞増殖により発症するのは多数の蓄積したゲノム変異が細胞内の正常な分子経路を破綻させるからであって、がん細胞内の代謝パスウェイの発現変化は遺伝子変異に依る発がんの結果と言える。言い換えれば、遺伝子変異とそれが起きるシグナル伝達系などの代謝パスウェイの発現変化の解明により、がん発症の決定的なメカニズムの理解に繋がる。異常代謝パススウェイの原因としての遺伝子変異を理解できれば、クリニカルシーケンスによる遺伝子変異診断から、実際に細胞中てで何かが起きているかを理解することが可能になる。 以上の視点から出発し、がん細胞のクリニカルシーケンスの結果に基いて、がん細胞内で実際に起きている代謝パスウェイの異常がどの変異が原因で起きているかを明確化し、がん代謝パスウェイネットワークの構築に基づいたドライバー遺伝子同定の研究を実施した。研究計画に基づいて、(1)変異特徴の層別化、(2)代謝ネットワークの破綻経路の明確化、(3)ドライバー変異モジュールの同定、(4)発がんメカニズムと治療ターゲット、の4つの課題を順次解析している。TCGAやICGC等の大規模がんゲノムデータを活用し、(1)及び(2)については概ね解析が完了した。来年度の成果と合わせて、がんの発症メカニズムを検証し、がん患者の変異パターンに基づいて最適な治療を選択することが可能になるための基盤を整備する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記した研究計画に沿って、おおむね順調に研究は進められており、現在のところ、特に予想外の事態は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらなる解析アルゴリズムの改良を実施し、より予測精度高いものに加え、より多種のがんデータで検証させることにより、交付申請書に記した研究計画を推進する。
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Causes of Carryover |
令和元年度に、がんゲノム代謝パスウェイの解析を行い、その結果を基にシンポジウムにおいて発表する予定であったが、検証分析の結果がまだ不十分であったため、計画を変更しシンポジウムでの発表をしなかったため、未使用額が生じた。 このため、検証解析とシンポジウムでの発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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