2020 Fiscal Year Research-status Report
協調的な分子情報と力で駆動する細胞運動プロセスのデータ同化予測
Project/Area Number |
19K20400
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
国田 勝行 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40709888)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞運動 / Rho活性 / 逆相関解析 / システム同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞運動時に協調的に作用するRhoファミリー低分子量Gタンパク質(Cdc42/Rac1/RhoA)の活性情報から細胞エッジの形態変化をモデル予測することである。蛍光分子プローブを用いて、個別にライブセル計測した3つのRho活性と形態変化(伸長と退縮)の時空間活性データに対して逆相関解析を行い、データを統合化する。統合化されたデータと力学に基づく細胞-基質間の相互作用を考慮した物理モデルに対して、逐次ベイズ法に基づく状態推定(データ同化)を行い、細胞エッジの形態変化をモデル予測する。形態変化に応じた不可観測な膜張力を同時に推定する。2020年度は、昨年度に開発した細胞の形態変化(出力)の情報からRho活性(入力)を抽出する逆相関解析法を様々な形態変化パターンのデータ群に対して適用を行った。さらに逆相関解析から得られた3つのRho活性と形態変化の入出力データに対して、線形回帰モデルを用いたシステム同定を行い、細胞運動時におけるRho活性(Cdc42/Rac1/RhoA)から形態変化への定量的数理モデルの構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、昨年度に開発した細胞の形態変化(出力)の情報からRho活性(入力)を抽出する逆相関解析法を様々な形態変化パターンのデータ群に対して適用を行った。複雑な細胞形態変化の情報を15個の代表的な変化パターンに区分化し、それぞれに対応する3つのRho活性パターンの抽出に成功した。さらに逆相関解析から得られた3つのRho活性と形態変化の入出力データに対して、線形回帰モデルを用いたシステム同定を行い、細胞運動時におけるRho活性(Cdc42/Rac1/RhoA)から形態変化への定量的数理モデルの構築に成功し、コーディング機構について検証を行った。以上のように、現在まで全体としての進捗はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、これまでの逆相関解析法に基づくデータ抽出法及び線形回帰モデルを用いたシステム同定の研究成果を学術論文として発表する。次に線形回帰モデルに基づくシステム同定で得られたモデル構造を基にして、細胞-基質間の相互作用を考慮した力学モデルの構築を行う。逆相関解析で抽出する3つのRho活性と形態変化の入出力データと力学モデルに対して、逐次ベイズ法に基づく状態推定(データ同化)を行い、細胞エッジの形態変化をモデル予測する。さらに、形態変化に応じた不可観測な物理量(例えば、細胞の局所領域における張力など)も同時に推定する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、予定をしていた他機関における研究活動及び国際学会への参加を一部取り止めたため、未使用額が生じた。繰越金額は、リモートによる他機関との円滑な研究活動の実施及び国際学会への参加費として執行予定である。
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