2019 Fiscal Year Research-status Report
心理誘導と深層学習の2種類のアプローチによる対戦カードゲームAI
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19K20429
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 直之 佐世保工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (30826889)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲーム情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
心理誘導を視野に入れた「強い対戦型カードゲームAIの作成」を目的とした本研究において、より簡易な対戦ゲーム環境での提案手法の一部の実装と評価を行った.その成果は国内研究会にて報告済みである. まず「ガイスター」というゲームを題材に用い,「相手の立場から見える情報を使った着手選択」と「自分の立場から見える情報を使った着手選択」の結果を比較する事で,相手の秘匿情報を高い精度で推測する手法の考案,実装,評価を行った.その上で,「相手が自分側の秘匿情報をどう推測してくるか」に検討をつける事で,相手の誤解に期待したブラフ手が生成される事を観察した. 「ガイスター」に実装した本研究手法はそれ単体として,一定の価値を持つ.機械学習技術とは異なり,事前に大量の学習データを必要とはせず,なおかつゲーム特有の上級者固有知識にほとんど頼ることもなく,相手の秘匿情報を推測する手段を与える.その上で,この手法を導入する事によって既存手法のゲームAIに比べて強さが向上する事も確認できた. そして「ガイスター」を題材にした実装と性能試験は,本研究の最終的な目標である「対戦型カードゲーム」への手法実装に先駆けて重要である.「ガイスター」における実装によって,細かなオプションの選択に関しての優劣の知見を得ただけでなく,手法の設計に対しての将来課題である「こちらと異なる心理的な傾向の相手プレイヤへの対応」や「相手を誤解させる事(を狙う事)と純粋な強さを重視した戦略のバランス配分」といった課題を早めに発見できたためである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第43回ゲーム情報学研究会にて研究報告を投稿した.これは「ガイスター」というゲームにおいて相手の「心理誘導」の可能性も含めた探索手法の実装と評価を行った研究報告である. この研究活動および報告は,当初の研究目的および研究実施計画に即している.具体的には,申請時に提案した研究計画の『まず心理的な誘導を行うAIプレイヤの作成および性能評価を「ガイスター」で行い,知見を集積する』という部分に対応していて,ここから本研究の最終的な目標である『対戦型カードゲーム』に対する実装と評価が次のタスクとして控えている. この「次のタスク」には,単なる「対象ゲームを変えての手法実装のし直し」に加えて,新たな手法構築(機械学習による情報推測)と人間被験者を用意しての実験も含まれている.そのため,単純に考えて現在の進捗は全体の4分の1であり,期間は半分が経過している.しかし致命的な障害に遭遇したわけではなく,進行自体に滞りはないため,進捗区分を「やや遅れている」と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「対戦型カードゲーム」に対象を変更した上での手法実装と評価を進めていく.研究計画に示した予定の通りであり,大きな変更点や,計画の変更すべき点は現在特に見当たらない.
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Causes of Carryover |
当初の計画の時点で「2年目における旅費の利用」を想定していた事に加え,本年度の参加学会についてもコロナウイルスの影響でオンライン開催となり旅費の利用額が大きく減少したため. 翌年度の資金の利用としては,予定通りに研究会旅費と実験謝金に使う予定である.
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