2021 Fiscal Year Research-status Report
森林生態系における土壌微生物の多様性とプライミング効果の関係
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19K20434
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沢田 こずえ 京都大学, 地球環境学堂, 研究員 (60795285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 土壌有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、森林生態系において、土壌微生物の群集組成や多様性と炭素・窒素添加による有機物分解促進効果(プライミング効果)の関係を解明し、土壌炭素量を増加させるための森林管理法を考案することを目的とする。 これまで、仮説とは異なり、微生物群集組成や多様性は、プライミング効果に影響しないことが分かった。そこで、土壌養分とプライミング効果の関係を調べた。その結果、リンが欠乏する熱帯林土壌では、リンマイニングによるプライミング効果が、窒素が欠乏する温帯林土壌では、窒素マイニングによるプライミング効果が起こることが解明された。つまり、熱帯林土壌ではリン、温帯森林土壌では窒素利用性の増加によって有機物量が増加することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プライミング効果に与える養分利用性の影響を評価することができた。その結果、熱帯森林土壌ではリン、温帯森林土壌では窒素利用性の増加によって有機物分解が抑えられることを示すことができた。この結果は、養分利用性の増加が土壌有機物蓄積量の増加につながることを示しており、大気CO2濃度上昇ひいては地球温暖化の抑制につながる重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、養分利用性がプライミング効果に影響を与えることを解明できた。今年度は、より詳細なメカニズム解明を行う。具体的には、プライミング効果を引き起こす微生物群集組成や酵素活性を解明する。
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Causes of Carryover |
2021年度は、新型コロナウィルスの関係で大学での実験時間が少なくなり、プライミング効果を引き起こす微生物群集組成の解明ができなかった。なので、2021年度は、プライミング効果のメカニズム解明を行う。そのために、次世代シークエンサーの依頼解析に、2021年度に助成金を使用する予定である。
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