2022 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプラスチックの熱分解-GC/MSによる分析法の確立
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19K20468
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
中國 正寿 香川大学, 農学部, 博士研究員 (90822643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / ガスクロマトグラフィー / 熱分解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,プラスチック標準試料を用いて,最適な加熱温度条件の検討と,そこから得られる結果から濃度の計算が可能か否かの基礎実験を行った.結果,最適な温度条件を見出すことに至った.このプラスチックの熱分解に最適な温度は,検討したプラスチック(ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン)で共通していた.次年度以降は,新たに,ハンディ熱分解装置を用いて,マイクロプラスチック分析に最適な分析条件の検討を行った.その結果,PP,PE,およびPVCでは,590°C条件下で熱分解することで高い熱分解生成物収量が安定して得られることが分かった.これを受けて今年度は,現場試料への応用として,海底泥などの堆積物中からマイクロプラスチックの分析を想定し研究を実施した.具体的には,東京湾および瀬戸内海で得られた堆積物約1 mgに106μm以下に粒形を揃えたプラスチックを0.01 mgから0.25 mg加え,各プラスチックの特徴的な熱分解生成物と添加量との間に規則正が見られるかの検討した.その結果,堆積物共存下においても各ポリマー特有の熱分解生成物はポリマー量と高い相関を示した.したがって,堆積物共存下においても熱分解により安定してポリマー特有の生成物を得られると期待できる.ただし,ポリエチレンの熱分解生成物は,有機物由来の熱分解生成物と重複する可能性があるため,留意が必要であった.最後に,PEのUV暴露実験では,n-alkadiene,n-alkeneが30日後にかけて増加する傾向が見られた.それに伴って,alkene/ alkaneおよびalkadiene/alkaneも同様の傾向が見られた.また,各炭素数比の推移を見ると,30日後にかけて炭素数の低い炭化水素の割合が増加し,それ以降は低下する傾向が見られた.この傾向は,プラスチックの劣化度の判定に用いることができると期待される.
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Research Products
(2 results)