2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20475
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 悠 京都大学, 工学研究科, 助教 (70835272)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 下水再利用 / 新素材膜 / 微量化学物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新素材の水処理膜の下水再生処理への応用を目的としている。2020年度は酸化グラフェン膜の微量化学物質に対する除去性評価を行った。セルロース混合エステルメンブレンを支持体として酸化グラフェン層を形成させた酸化グラフェン膜を使用し、実験室規模の膜処理装置を用いて医薬品類約50種に対する除去性能を評価した。 酸化グラフェン膜での医薬品類の除去率は、医薬品類の電荷によって大きく異なり、マイナスの電荷を持つ医薬品類の除去率は、プラスの電荷を持つあるいは電荷を持たない医薬品類の除去率よりも高くなる結果が得られた。酸化グラフェン膜はマイナスの表面電荷を持つことから、酸化グラフェン膜での医薬品類の除去には、膜と医薬品類との電気的相互作用が大きく影響することが明らかとなった。また、電荷を持たない医薬品類の除去に関して、医薬品類の疎水性と除去率との間にやや弱いながらも相関が見られたことから、電荷を持たない物質については、膜との疎水性相互作用が重要な因子となることが示唆された。一方、医薬品類の分子量(151~916g/mol)と除去率との間には相関が見られなかったことから、対象とした医薬品類については膜でのサイズ除去効果が期待できないことが明らかとなった。酸化グラフェン膜での医薬品類の除去率を向上させるためには、膜孔径の微細化が必要であると考えられる。今後様々な運転条件下における実験を実施し、酸化グラフェン膜の性能をさらに評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新素材膜である酸化グラフェン膜に焦点を当て、下水中に広く存在する医薬品類約50種に対する除去性能を評価した。膜での除去率には、膜と医薬品類との電気的相互作用や疎水性相互作用が大きく影響することが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
下水処理水を実験原水として小型膜処理装置を連続運転させ、酸化グラフェン膜の運転性を評価する。膜ファウリングの低減に効果的な膜洗浄条件を検討し、安定した連続運転が可能となる運転条件を導出する。
|
Research Products
(1 results)