2020 Fiscal Year Annual Research Report
高効率水質浄化を指向した多孔性錯体結晶の精密形態制御と濃縮型光触媒反応
Project/Area Number |
19K20476
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
今野 大輝 東邦大学, 理学部, 講師 (40825832)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多孔性錯体結晶 / 金属有機構造体 / MOFs / ZIFs / エレクトロスプレー / フェムトリアクター / 水質浄化 / 吸着除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、新たに液中エレクトロスプレー法によって生じるフェムトリットル体積の液滴を反応場とする合成法(フェムトリアクター法)を用いて、Zeolitic Imidazolate Frameworks (ZIFs) 結晶の形態制御を試みるものである。最終年度はZIF-8(亜鉛イオンと2-メチルイミダゾールの錯体結晶)の形態制御合成に着手し、その適用可能性を検討した。 初年度に検討したZIF-67結晶と同様に、印可電圧や合成溶媒などの合成条件が得られる結晶形態に影響を与えることが明らかとなった。複数種のZIFs結晶に対して、反応場に有機溶媒を使わなくとも(反応場が水であっても)、そして添加物を投入せずとも、エレクトロスプレーを用いることで形態改善が可能であることを実証できた。今後の検討課題として、短時間高収量を目的とした高濃度溶液を用いた合成条件では、得られるZIFs結晶の粒子径分布が悪化し、条件によっては結晶性が低下することが明らかとなった。これはエレクトロスプレーによって発生する液滴サイズを小さくしても、接触界面での濃度ムラが発生してしまうことと、合成時間の経過と共に生成したZIFs結晶が反応場である溶液界面に溜まることに起因する。この知見は今後の手法改良に向けた重要な知見であり、本課題終了後も引き続き合成法の最適化を推進していく。 さらに今年度は多孔性錯体結晶の水質浄化剤としての可能性についても検討を進めてきた。例えばZIF-8は重金属イオンの吸着剤として、ZIF-67やUiO-66は過フッ素化合物の吸着剤として、そしてMIL-100(Fe)は有機色素を分解する濃縮型光触媒として有効に機能することを明らかにした。これらは水質浄化剤への適用に向けた重要な指針であり、今後も各種吸着理論を用いたメカニズム解明や再生利用を含めた長期寿命の計測を中心に検討を続けていく。
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