2019 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of mechanism of liquid-phase adsorption using carbon gels as model adsorbents
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19K20478
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
吉田 誠一郎 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究職員 (00806002)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 吸着 / 多孔質材料 / カーボンゲル / 炭素材料 / 粉砕 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、液相吸着を支配する細孔特性、表面特性、粒子径を制御可能な多孔質炭素材料のカーボンゲルをモデル吸着剤に、化学的特性のバリエーションが豊富な色素をモデル吸着質に用いた吸着実験により液相吸着のメカニズムを詳細に解明することである。本年度は、カーボンゲルの細孔特性が色素の吸着に与える影響の基礎的な評価を行うために、細孔特性の異なるカーボンゲルに対する色素の吸着実験を実施した。 レゾルシノール・ホルムアルデヒドゲルを前駆体とし、これを不活性雰囲気化で炭素化することで、カーボンゲルを合成した。前駆体ゲルを合成する際の触媒・モノマー比を変えることで、異なる平均細孔径を有するカーボンゲルを得た。メチレンブルーとAcid Red 13の2 種類の色素に対して、細孔径の異なるカーボンゲルを用いた液相吸着実験を行った。カーボンゲルに対する色素の吸着等温線はLangmuir型の吸着等温線に適合した。Langmuir型の吸着等温線から求められる最大吸着容量をカーボンゲルの細孔構造と比較するために、カーボンゲルに対する窒素の吸着等温線から、グランドカノニカルモンテカルロ(GCMC)法により細孔の積算表面積を計算した。その結果、色素が収容されると予想されるサイズの細孔の積算表面積と最大吸着容量に直線関係が認められた。よって、色素はカーボンゲル細孔表面に単分子層で吸着していることが示唆された。また、色素の分子量が大きくなると、直線関係が見られる細孔の下限が大きくなることも分かった。これは、色素の分子サイズが大きくなることで、小さな細孔には色素が吸着できなくなったものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、細孔構造の異なるカーボンゲルを合成することができ、それに対して色素の液相吸着試験を実施することができた。得られた結果を解析したところ、カーボンゲルの細孔構造と色素の吸着量の明確な関係を見出すことができ、カーボンゲルと色素というモデルが、液相吸着のメカニズムを解明する上で強力なツールとなることが実証できた。以上のことより、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度でカーボンゲルの細孔構造と色素の吸着量の関係が明らかとなった。最終年度では、カーボンゲルの表面特性や粒子径といったパラメータが色素の吸着に与える影響を評価する。また、色素のバリエーションを増やして液相吸着実験を実施し、液相吸着のメカニズム解明に必要なデータの拡充を図る。
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