2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20489
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
法理 樹里 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 研究員 (90744756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 福利 / well-being / 持続可能性科学 / 社会・生態システム / 自然環境保全 / 幸福感 / 社会実装 / 環境配慮行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人間の心理的幸福感(福利:well-being)を高める自然資本の保全・管理に向けた戦略を構築するものである。
2021年度は、2020年度に引き続き地域レベルのボトムアップ的な観点から、①沿岸域・流域の生態系サービスを享受することで得られる人間の「福利」の評価枠組みの検討、②沿岸域・流域の生態系サービスを享受することで得られる人間の「福利」の地域特性の把握、③沿岸域・流域の自然資本の保全・管理への戦略構築に向けた多様な主体による自然への投資のオプション提案の手法を探った。
①に関しては、人間の福利を重層的に評価するデータ収集手法の開発に取り組んだ。2021年度に実施予定だったが新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて延期された大規模アンケートの項目を現状の暮らしに沿った内容にブラッシュアップさせるために,琵琶湖・淀川流域を調査フィールドに拡大し,オンラインを中心としたインタビューおよびアンケートを行った。②に関しては、ミレニアム生態系評価(2005)で定義されている生態系サービスを享受することで得られる人間の福利の5つの要素以外に「地域への愛着(2019年の結果)」,「自然環境に対する畏怖(2020年の結果)」,「自然環境に対するなつかしさ(2020年の結果)」と併せて「コミュニティ・アイデンティティ(地域との絆など)」や「使命感」および「義務感」も重要な福利の規定要因になる可能性が推察された。③に関しては、オンラインを活用したインタビューやグループワークを通じて、多様な主体より得られた意見を参加者と研究者が協働しながら分類・考察を行い、地域の自然資本の保全・管理への戦略構築に向けたシナリオの作成と、地域の自然資本の保全・管理の実践が自分事にならない・実践が難しい理由をあわせて議論し戦略の社会実装を阻む要因の検討を探索的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、現地調査の実施が2020年度に引き続き2021年度も困難であったため、調査研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した研究実施計画を粛々と遂行する。研究が計画通りに進まない場合については、それが最も生じやすいと予想されるインタビューやグループワークといった手法について、オンラインでの実施に切り替え、適切な研究計画の絞り込みが行えるように配慮しながら研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、現地調査の実施が困難になった事と併せ、参加を予定していた学会や研究会が中止・延期されたため(社会情勢を考慮して参加を見送った場合も含む)。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮しつつ申請書に記載した研究実施計画を遂行する。
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Research Products
(8 results)