2021 Fiscal Year Research-status Report
豪雨による作物供給リスクを考慮した日本各地域の栄養塩負荷誘発構造の解明
Project/Area Number |
19K20496
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
種田 あずさ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (70585314)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 窒素 / リン / 産業連関分析 / 作物生産 / 降雨 / 食料消費 / フットプリント / 環境リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、豪雨の影響が増大した場合でも「地域食料システム」が栄養塩を効率的に利用するための学術的基盤の構築を目指している。具体的には、地域食料システムにおいて栄養塩を効率的に利用するために優先的に取るべきリスク管理策の検討に向け、窒素とリンに関して下記の3つの課題に取り組んでいる。 [A]現状の地域間の窒素・リン負荷誘発構造の解明 [B]降雨による農地からの栄養塩流出リスクの推計 [C]降雨量の多い時と平常時の食料生産・消費を通じた栄養塩フローの変動の比較 2021年度においては、[A](a)国内の作物生産における窒素・リンの環境中への流出量の推計に関して、農地投入量として肥料だけでなく生物的窒素固定・灌漑水流入・大気沈着を考慮するよう修正した。また、収穫物中や残渣中の含有量の行先について整理した。これらにより修正した流出量の推計をほぼ完了した。 [A] (b)窒素・リン解析用多地域間産業連関モデルの構築と適用に関しては、経済取引データベースである産業連関表と流出量推計とを組み合わせた窒素・リン解析用多地域間産業連関モデルについて、前年度までの基準年分の試算において生じた問題点の解決を検討し、経年変化をみるためのデータ構築を進めた。[B]に関しては、昨年度完了した基準年の流出量推計について、モデルの変数(パラメータ)の修正を検討し、一部は資料として発表する準備を行った。[C]に関しては、比較の方針が決まり、今後の展開に向けて、関連研究との連携による窒素・リン解析用多地域間産業連関モデルや流出量推計モデルの応用的利用を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
怪我休業・通院のため解析がやや遅れているが、現状の地域間の窒素・リン負荷誘発構造と降雨による農地からの栄養塩流出リスクについては精緻化後の推計の目途が立っている。また、それらを用いた降雨による栄養塩フローの変化についても比較の準備ができ、今後の発展に向けた議論を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の地域間の窒素・リン負荷誘発構造と降雨による農地からの栄養塩流出リスクの推計を完了させ、降雨による栄養塩フローの変化を比較したうえで成果論文としてまとめ、国際誌に投稿する。気候変動予測と合わせた評価など、他の災害対策とのシナジーやトレードオフを解析する枠組みについての検討を進める。
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Causes of Carryover |
出張を予定していた学会がオンライン開催されたり延期されたりしたこと、また、怪我休業中の補助員雇用がなくなったことなどから、支出が減少した。 解析をより早く進めるための補助員の追加雇用及び計算速度の速いコンピュータの購入に使用することを予定している。
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