2019 Fiscal Year Research-status Report
環境定位に基づく市民の保全活動への参加意欲を高める緑地景観マネジメント方針の検討
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19K20502
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高瀬 唯 茨城大学, 農学部, 助教 (00793803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身近な自然 / ランドスケープ ・リテラシー / 景観体験 / 緑地 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑地保全に対する政府の予算が世界中で限られているため,市民ボランティアの重要性は年々増している。しかし,参加者が活動を継続しないという課題は,長期に渡って指摘され続けている。市民の動機や利点に着目して活動内容を魅力的にするだけでなく,市民が「この緑を保全していきたい」と価値を感じられる空間に緑地景観を整備することが重要である。本研究は,市民が保全したいと思える緑地景観のイメージを解明し,市民の保全活動への参加意欲を向上できる景観マネジメント方針の検討を行う。そのために,市民の環境定位の傾向と緑地保全活動への参加意欲の程度にはどのような関連があるのかを明らかにすることを目指している。 今年度は,学生が描いた風景イメージスケッチによる身近な自然環境のイメージの分析と,市民のランドスケープ・リテラシー行動の程度と地域内緑地の想起の関連分析を進めた。学生が描いた風景イメージスケッチによる身近な自然環境のイメージの分析から,身近な自然環境の想起の中心には水田があることが明らかになった。申請者が過去に行った調査と比べると,異なる傾向となった。また,市民のランドスケープ・リテラシー行動の程度によって地域内緑地の想起の様子が異なる傾向が見られた。最も当てはまる市民が多かった「この地域を週に1度は散歩する」という行動は地域内緑地の想起の様子に影響がないものの,「この地域に愛着を持ち,地域への責任感を持っている」や「この地域にいる主な植物,動物,昆虫を知っている」などに当てはまる人は,当てはまらない人よりも地域内で想起する緑地の数が多かったり,広範に緑地を想起する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的に対する知見を明らかにすることができた。ただし,1年目に予定していた一般市民対象の風景イメージスケッチ調査については実施が遅れている。2年目に継続して調査をする。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に明らかにした結果をもとに,学術誌へ論文投稿を行う。また,一般市民対象の風景イメージスケッチ調査の実施を進める。
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Causes of Carryover |
今年度に市民対象の風景イメージスケッチ調査を行う予定だったが,調査の進行が遅れたため今年度中に使用することができなかった。このため,市民対象の風景イメージスケッチ調査を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てる予定である。
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