2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on the autonomous management system of irrigation ditch which go through urban and rural areas
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19K20505
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
坂村 圭 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30793749)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 用水 / 自立性 / 都市農村 / 価値認識 / 資源管理 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都市と農村が協働して農業用水からの価値を持続的に享受するために、都市側の「価値認識」「資源利用」「資源保全」を調査し、農業用水を自律的に管理していくための資源戦略を分析することである。このために、研究初年度にあたる本年度(R1年度)は、「調査①:都市計画上保全すべき用水の特定」「調査②:農業用水の資源価値の認識と資源利用の関係性の分析」の二つの調査を計画していた。 調査①に関して、R1年度は、人口20万人以上の自治体に対するアンケートの実施、金沢市の行政計画の分析、金沢市の用水の現地・文献調査を行った。これらの調査は、全国の農業用水の保全意向とその課題を明らかにするとともに、金沢市を対象に都市計画上で重要な用水の特徴を把握するものである。次年度に、金沢市の農家(土地改良区)へのヒアリング調査を実施して、農業の継続による農業用水の維持管理が困難な地域を特定することで、「都市計画上保全すべきであるが農家による自主管理が難しい用水」の特徴を分析する予定である。なお、これまでの調査結果に関しては、日本造園学会への論文投稿をR2年3月に行っている。 調査②に関して、R1年度には、先進事例地の調査として6カ所の用水の現地視察と自治体へのヒアリングを行った(東京都足立区、東京都世田谷区、神戸市、京都市、恵庭市、金沢市)。これらの地域は、農業用水を開渠化・再生・創出して、都市部での新たな活用と価値生成を行った場所である。調査では、このような都市における用水の活用事業が、なぜ行われたのか、どのような事業計画がされたか、事業実施後に都市住民がどのように用水を活用しているかを行政担当者から聞き取り、資源価値の認識から利用までのプロセスを把握している。なお、この結果は、日本建築学会にR2年5月に論文投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R1年度に予定していた調査は大きく二つあった。まず一つ目が、都市計画上保全すべき用水の特定である。本調査に関しては、当該年度に計画していたアンケート調査、金沢市の行政計画の分析、金沢市の用水の現地・文献調査を行った。また、この調査結果に関する日本造園学会への論文投稿もR2年3月に完了している。この調査に関してまだ実施できていない事項は、金沢市の土地改良区への聞き取り調査である(既に、鞍月用水土地改良区に対してはヒアリング調査を実施している)。R2年度に、用水を利用・管理してきた農家の意見を調査し、これまでの調査結果と統合することで、農家により維持管理が困難となったが都市計画上保全すべき用水を特定する予定である。 R1年度に計画していた二つ目の調査が、農業用水の資源価値の認識と資源利用の関係性の分析である。本調査に関しては、先進事例地の調査として6カ所の用水の現地視察と自治体へのヒアリングを行った。なお、この結果は、日本建築学会にR2年5月に論文投稿する予定である。本調査の進捗は、R2年度に調査結果をまとめるとしていた当初の計画よりも大幅に進展している。 このように、当初予定していた主な調査が予定通り実施できていることから、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度には、当初予定していた調査として、都市住民のエンパワーメントを生み出す資源管理モデルの検討を行う。このために、主に金沢市の住民を対象にアンケート調査を行い、用水の保全に対する費用負担意思額を算出する予定である。 また、これまでに行った調査の補完・増強のために、金沢市の複数の土地改良区への聞き取り調査を実施することと、先進事例調査を継続することを予定している。 さらに、これらの調査結果をまとめて関係学会に少なくとも一編は論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
R1年度は、先進事例調査のための旅費支出を他の研究予算から捻出することができたため、当初の計画よりも本研究費による旅費支出を抑えることができた。また、本格的なGIS調査を開始していないため、外付けハードディスクの購入を見送っており、消耗品費が発生していない。 これらの次年度への繰越金は、R2年度以降の先進事例調査の旅費の拡充と、データ整理・保管時に必要となる消耗品費、データとりまとめのための人件費に充当することとする。
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Research Products
(1 results)