2019 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギー導入における農山村コミュニティの主体性―小水力発電を事例に―
Project/Area Number |
19K20506
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本田 恭子 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20637053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小水力発電 / 再生可能エネルギー / コミュニティ / 地域資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,小水力発電(出力1,000kW以下の水力発電)を事例に,コミュニティ・エネルギー(農山村コミュニティが主体となって再生可能エネルギーを導入し,地域課題の解決へつなげていくしくみ)の実現に不可欠なコミュニティの主体性を検討することである。そのために,中国地方の統計資料の分析と小水力発電に取り組んでいる地域でのフィールド・ワークを行う。 令和元年度は,鳥取県内の電化農業協同組合についての調査結果を本の一章として公表した。電化農業協同組合は住民が出資した発電事業専門の農業協同組合であり,中国地方の既存の小水力発電事業者のなかでは,コミュニティ・エネルギーの理念に最も近い。しかし,発電事業以外の収益部門を持たず,経済的基盤が弱いため,老朽化した設備の改修が必要な状況ではあったものの,資金調達に困難を抱える事例がみられた。しかし,鳥取県内の発電事業者をとりまとめる鳥取県小水力発電協会の仲介により,地域外の企業と連携することで発電設備を更新していた。地域外の企業が資金を調達し,発電設備の改修とその後20年間の運営を行う一方,電化農業協同組合は用水管理と水利施設の維持管理を担い,一定の報酬を得ることになった。このことから,人口減少と高齢化が進むなか,農山村コミュニティが独力でコミュニティ・エネルギーを実現することは難しく,外部のアクター(例:地域外の企業)との連携が必要となることを指摘することができた。また,聞き取り調査結果より,農山村コミュニティと外部アクターとの連携をスムーズに構築するためには,専門知識を有する第三者が仲介役として双方に情報提供を行うことが必要であることも指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,令和元年度に統計資料の分析を済ませ,研究成果の公表は最終年度に予定していたが,執筆の機会に恵まれ,現時点での成果を本の一章として公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画当初は,令和元年度中に統計資料の分析を済ませる予定であったが,執筆作業のため,予定より時間がかかっている。そこで,今年度中に統計資料の分析とこれに関する成果公表を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画では国際学会での発表にかかる旅費を計上していたが,民間の研究助成を獲得することができたため,予定よりも支出が減額した。
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Research Products
(2 results)