2021 Fiscal Year Research-status Report
日本における盗伐発生要因の検討と森林犯罪研究の再興
Project/Area Number |
19K20509
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
御田 成顕 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70800655)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 森林犯罪 / 環境犯罪 / 無断伐採 / 違法伐採 / 私有林経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,国内において増加している無断伐採(盗伐および誤伐)の発生メカニズムをを検討したうえで,林野行政,素材生産業界および木材業界に求められる対策を提示することを目的としている。 2021年度は,地域振興および環境配慮だけでなく,透明性確保の観点からも重要である地域材に焦点を当て,その利用実態の把握と利用振興にむけた方策を検討した。地域で用いられている木材の産地別に入荷状況が異なる3地域(外材主体地域:広島県,他県材主体地域:福岡県,自県材主体地域:宮崎県)に位置する工務店を対象に実施したアンケート調査の結果から,(1)工務店が地域材利用の重要な担い手となっていること,および(2)地域の入荷構造と工務店が用いる部材の産地との間には正の関係があること,(3)地域によって地域材に対する施主のもつ印象が異なっていることが示された。これらの結果から,地域材利用が乏しい地域では感性的な面の評価が高い一方,品質面と価格面の評価が低かったことから,地域材利用が乏しい地域では,地域材(素材)を安定供給し,地域材由来の部材の供給量の増加とその品質の向上を図ることで,地域材利用率が高まると考えられた。 調査の進捗状況は,無断伐採の発生経緯と手口を明らかにすることを目的に,無断伐採被害者への聞き取り調査を実施した。また,司法行政における盗伐の司法判断の基準を明らかにするため,検察庁において盗伐事件の刑事裁判の記録を収集した。 2023年度はこれらの調査から得られた結果から,無断伐採の発生経緯を明らかにするとともに,森林窃盗罪の成立に求められる構成要件について検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症拡大の影響により現地調査の機会が限られたものの,聞き取り調査と刑事裁判に関する資料の収集を行うことができた。また,地域材利用を対象とした投稿論文が受理されたことから,概ね計画どおりに実施できているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査および聞き取り調査の結果をもとに,無断伐採発生の経緯とその手口について明らかにする。 刑事事件および民事事件の裁判記録をもとに,森林窃盗罪の立証に求められる要件を検討する。 これまで得られた結果から,無断伐採発生のメカニズムを総括し,林業および森林経営の実態に鑑みた予防策を検討する。
|
Causes of Carryover |
感染症の影響により現地調査の回数を減らしたため計画使用額に差異が生じ,次年度使用額が発生した。 次年度使用額は,現地調査および研究の取りまとめに使用する消耗品に当てる予定である。
|