2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K20510
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
森田 稔 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (10756977)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢世帯 / 電力消費量 / エネルギー効率投資 / 節電行動 / 非価格要因 / 在宅時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アンケート調査を実施し、高齢世帯での電力消費量と節電取組みの実態を把握するとともに、節電取組みにおける非価格要因の効果について実証分析を行う。初年度は、政府統計などを用いて日本の現状を把握することと高齢世帯におけるヒアリング調査を行った。まず、政府統計を用いて、世帯一人当たり年間電力消費量を世帯主年齢別で調べたところ、60代以上の高齢世帯の電力消費量は、50代以下の世帯に比べ、1.5倍多く消費していることが示された。さらに、高齢化による世帯数減少が電力消費量にもたらす影響を把握するために、政府統計データを用いてシミュネーション分析を行った。分析の結果、2040年の家庭部門の電力消費量は2018年に比べ、世帯主年齢が20代以下から50代までの世帯では減少となる一方、60代、70代以上の高齢世帯では大幅に増加する結果となった。こうした結果の要因としては、①世帯人員数は減少する一方主要な家電製品の世帯当り所有台数が多いこと、②エネルギー効率が低い旧式の機器を使用している割合が高いこと、そして③在宅時間が長い(60代以上の世帯;17-19時間/日、その他年代の世帯;13-14時間/日)ことが、明らかとなった。電力消費、使用している家電製品、そして在宅時の時間配分について、世帯主年齢が65歳以上の世帯(7世帯)にヒアリング調査を行った。月々の電力消費については、電気料金については把握しているが、前の月や前年の状況などは気にしていなかった。また、家電製品の使用については、壊れるまで使い続けるや今は使用していないが、過去に設置したままで撤去はしないことが分かった。最後に、日々の時間の使用状況については、自宅で多くの時間を過ごし、照明やテレビなどは必要ではなくとも付けたままにしていることが多いとのことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の研究計画では、2019年度に第1回目のアンケート調査を実施する予定であったが、実施期間を2020年度に変更することとなった。理由としては、まず、当初の予定していた高崎市介護保険課の協力が得られなかったことが挙げられる。それにより、高崎市に在住し、かつ高齢者等あんしん見守りシステムを導入している65歳以上の高齢世帯に対するアンケート調査の配布が困難となり、再度、アンケート対象世帯の選定に時間を要したためである。しかし、群馬県内の別の2つの市に対して、アンケート調査に関する相談と依頼を行い、両市からの協力を得ることができた。さらに、高崎市においても、他の部署に再度、相談と依頼を行う予定である。仮に、高崎市においても協力が再度得られれば、3つの市において、大規模な調査を実施することが可能となり、2020年度中に第1回目の調査を実施する予定である。また、新型コロナウィルスによる、新しい生活様式への急激な変化も考慮し、既に作成しているアンケート調査票の質問項目について修正・加筆を行う必要が生じたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については、まず2020年度において、新型コロナウィルス発生後の新しい生活様式への変化も考慮し、再度、プレテストを実施するとともに、最大で3市におけるアンケート調査を実施する予定である。その結果を踏まえて、高齢世帯での電力消費と節電取組みの実態、そして節電ポテンシャルについて明らかにする。その上で、回答者を介入群と対照群に振り分け、社会的規範やソーシャルマーケティングの手法による節電効果の検証を行うための第2回目の調査の作成に取り掛かる。ただし、申請時に想定していた介入要因が、今回の新型コロナウィルス終息後の社会においても有効かを注意深く検討する必要があると考えている。そして、2021年度において、第2回目の調査を実施すると共に、研究を進め、国内外の学会やワークショップで分析結果を報告し、論文の精緻化を図ると共に海外ジャーナルなどに投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
申請時の研究計画では、2019年度に第1回目のアンケート調査を実施する予定であったが、実施期間を2020年度に変更することとなった。理由としては、まず、当初の予定していた高崎市介護保険課の協力が得られなかったことが挙げられる。それにより、高崎市に在住し、かつ高齢者等あんしん見守りシステムを導入している65歳以上の高齢世帯に対するアンケート調査の配布が困難となり、再度、アンケート対象世帯の選定に時間を要したためである。しかし、群馬県内の別の2つの市に対して、アンケート調査に関する相談と依頼を行い、両市からの協力を得ることができた。さらに、高崎市においても、他の部署に再度、相談と依頼を行う予定である。仮に、高崎市においても協力が再度得られれば、3つの市において、大規模な調査を実施することが可能となり、2020年度中に第1回目の調査を実施する予定である。
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