2021 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な地域づくりに資する“思考の補助線”としての風土概念の有効性の検討
Project/Area Number |
19K20513
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
太田 和彦 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (50782299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 風土論 / 地域計画 / ルーブリック / 和辻哲郎 / 持続可能な社会への移行/転換 / 超学際研究 / 環境倫理学 / 食農倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
・共生社会システム学会2021年度大会(9月26日、オンライン開催)にて、パネルセッション「風土論の近傍、和辻哲郎の遠望」を主催した。セッションの主な目的は、本科研費の成果報告、つまり風土論の隣接分野(文明論や日本人論、ネイチャーライティングなど)を明らかにし、『風土』(1935年)における風土概念の詳細な考察で知られる和辻哲郎(1889-1960)の多様な仕事に対する二次研究の成果を整理・共有することにあった。申請者を含む4人のパネリストが以下の報告を行った:①和辻哲郎の二次文献の整理、②倫理学や仏教論などでの和辻の議論と風土論の関連、③同時代の著述家である林芙美子と比較することで明らかになる和辻風土論の特徴、④多様な情報や知識を可視化できるようになった今日における風土論の可能性。 ・持続可能な社会への移行/転換のための超学際研究を支援するツールとしてルーブリックに着目し、「翻訳装置としてのルーブリック」をテーマとした章を、論文集『環境問題を<見える化>する : 映像・対話・協創』に寄稿した。また、人間文化研究機構・可視化高度化事業「映像とルーブリック」研究会にて2回の研究報告を行った。 ※本取り組みは、2020年度の報告書にて述べた、「(1)地域計画の立案において、グローバルな問題関心をどのようにローカルな問題関心と接続するかは、学術分野・実践の種類を越えて共通する論点である。(2)風土論に求められるのは、"正しい解決策"の提示ではなく、現場で行われている細かい議論をはり合わせていく際の可視化の方法である。(3)その地域の風土としてひとまず貼りあわされた、ビジョン、アイデンティティは、"正解"を示す道筋ではなく、計画・理論に巻き込まれる参与者を間接的に共作者にするための媒体として位置づけられる」という見解の実践面反映である。 ・その他、複数の学会報告、論文投稿を行った。
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