2020 Fiscal Year Research-status Report
フィリピン外交の大戦略―フィデル・ラモス政権の外交指導についての考察
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19K20518
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
高木 佑輔 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (80741462)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィリピン外交 / 法の支配 / 地域主義 / 中国の台頭 / 国家建設 / 東南アジア国際関係 / インド太平洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に収集した資料の批判的読解を継続した。特に、ラモス政権幹部の国際情勢認識についての調査が進んだ。2020年2月には、フィリピンを訪問し、マニラ首都圏とダバオ市で現地調査を行った。ラモス大統領が主導したフィリピン流のASEAN外交であるブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン東ASEAN成長地域(BIMP EAGA)について、その主管官庁であるミンダナオ開発庁を訪問して聞き取り調査などを行った。 2020年7月には、オンラインにてフィリピン研究会全国フォーラムを主催し、ラモス大統領の法律顧問を務め、後に最高裁判事となったアントニオ・カルピオ判事に基調講演を依頼した。研究会及び基調講演を通じて最新のフィリピン研究の成果を聞く機会となった。また、外交を含むフィリピンの国家建設についての論考を執筆し、田中明彦・川島真編『20世紀の東アジア史』(東京大学出版会)に「フィリピンの政治課題と国家建設」を寄稿、出版した。2020年1月には、英文査読誌Philippine Review of Economicsに英語論文("The Nexus of Nationalism and Internationalism: The Journey of a 'Diplomat' After the Galleons")を投稿し、掲載が決まった。 2020年度末には、専門学術書として出版予定の単行本2冊に、それぞれフィリピンの対中政策とフィリピンの地域主義外交に関する章を寄稿するための原稿を準備した。また、シンガポールのRSISの研究員らと共同研究を行い、フィリピン外交を含む東南アジアの国際関係についての英文編著を出版する準備を本格化した。 アウトリーチ活動としては、『中央公論』に「中国の海洋進出とインド太平洋地域秩序の行方―ベトナムとフィリピンを事例に」を寄稿、出版した。また、在ダバオ日本総領事館がミンダナオ開発庁と共催で開催したウェビナーに登壇し、「BIMP EAGA in the Indo Pacific」と題する講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
専門的な学術書にフィリピンの外交や国家建設に関する論文を寄稿し、出版された。英文査読誌Philippine Review of Economicsに英語論文(The Nexus of Nationalism and Internationalism: The Journey of a “Diplomat” After the Galleons)を投稿し、掲載が決まった。また、今後出版予定の2冊の専門的な学術書への寄稿が決まった。さらに、英文の編著本作成も本格化した。また、アウトリーチとして『中央公論』に寄稿し、出版された。また、ミンダナオ開発庁との関係が深まり、同庁と在ダバオ総領事館が共催したウェビナーでの講演を実施するなどの成果発信も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
状況が許せば追加の現地調査を実施する予定であるが、難しければオンラインインタビューやウェビナーの視聴、ウェビナーに登壇、あるいはウェビナーを主催するなどして情報収集を続ける。また、ラモス大統領の主導した地域主義外交であるBIMP EAGAについて、その対象国となったブルネイ、インドネシアやマレーシアがどのように対応したのかについて、文献収集と分析を行う予定である。 成果の取りまとめとしては、日本語の学術書に寄稿する論文2本を完成させる予定である。また、英文編著の準備を本格化し、出版社との交渉を開始する予定である。これについては、東南アジアの主要シンクタンクとの協力関係が生まれており、それをさらに進め、成果とりまとめを行う予定である。アウトリーチ活動については、今年度同様タイミングを見て、原稿執筆やウェビナーの参加などを適宜実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により現地調査出張ができず、フィリピンからの有識者招聘もできなかったため。いずれもオンラインのコミュニケーションに切り替えて実施した。また、招聘講師より、謝金辞退の申し入れがあり、予定よりも少ない支出で講師から話を聞くことができた。 今年度は、これまで収集した資料の整理等を担う研究補助のための人件費・謝金、また、これまでの成果を踏まえた発信のため、英文校閲等のために研究費を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)