2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of factors promoting acceptance of novel mosquito control technologies by residents in areas with mosquito-borne infectious diseases
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19K20520
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 みな子 京都大学, 次世代研究創成ユニット, 特定教授 (70636646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蚊防除 / 地域住民 / サイエンスコミュニケーション / シンガポール / 社会実装 / 観光地 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症のパンデミックの影響により、前年度に引き続き2021年度にも、調査地であるシンガポール共和国への渡航が困難であった(理由:現地における一定期間の隔離等の措置、外務省によるレベル3としての危険情報の発出、所属先ルールにより帰国後職務につけない期間が長期に渡って発生するため)。従って当該年度の研究活動は調査地における臨地調査ができないまま、以下の5項目に集約された。 1)2019~20年度の調査結果について投稿済みのブックチャプターに関して編者から求められた変更について、筆頭著者・責任著者として対応し、再投稿した。 2)調査地シンガポールに渡航できないことから、国内における代替調査地の検討を前年度に開始した亜熱帯気候の沖縄県石垣島及びその周辺の島について、未検討の離島および石垣島における参与観察、文献収集・文献調査を継続した。離島においては観光客等により放置された複数の人口容器、およびボウフラの発生源となる可能性のあるドラム缶等の水たまり箇所、またボウフラの発生を確認するのが容易ではないものの観光客が立ち入る頻度が高い箇所が広範囲にわたり存在することを確認した。 3)石垣島同様に亜熱帯の観光地である沖縄本島の観光地域における蚊媒介性感染症に関する注意喚起等の状況に関しても情報収集し、県内において2030年代にフラビウイルスの伝播が発生するかについて琉球大学の研究者と意見交換を行った 4)サイエンスコミュニケーションに関し、報道番組や動画の記録・保存を前年度同様に行った。 5)蚊媒介性感染症の動向については国内学会への参加を通じて情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のパンデミック発生、およびその影響による海外渡航が困難となる期間が2年間続くという、当初予期しえなかった事象の発生により、現地にてフィールド調査を遂行することが極めて困難な状況が続いた。しかしながら、現地の研究協力者からのデング熱流行などの情報は引き続き得られており、公開情報についてはオンライン、メール等にて入手することができている。しかし、シンガポールにおける臨地調査が行えないことから、現地資料の収集、政府主催イベントにおける参与観察等が行えない状況が続いており、研究計画に遅れが生じている。 この状況の部分的な改善に努めるため、沖縄県本島、石垣島そのほかの離島の観光地において、予備的な代替調査を行った。これに伴う文献収集・精読も継続して実行した。COVID-19に関する報道番組等のメディアから得られる情報を本研究のサイエンスコミュニケーションの考察に活用することを目的として、記録・保存を継続した。 このようにシンガポールにおいて現地調査が行えないことによる研究の遅延の挽回に努めた。しかし、月に45~100時間に渡る超過勤務が続いた上に、雇用財源が補助金に変更されて以降、教育・研究エフォートを就業時間に確保できない身分とされ、そうした研究環境を改善するための交渉にあたったものの解決できなかった。このため、研究計画よりやや遅れた状況を改善するに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度をもって上述の教育・研究活動が制限される職を辞し、2022年4月1日付で学内の他部局に所属変更し、研究ができる身分を確保する機会を得た。これにより研究時間を大幅に増やせることから、本課題の目的達成に尽力できる環境がようやく整った。4月現在、シンガポール側にて外国人渡航者に対する隔離措置などが撤廃されたとの報道があり、第1四半期に現地渡航ができるよう、研究協力者等と日程調整に入っている。現地当局からはデング熱の2022年の流行予想が早々に発出されているとの報道もあることから、調査地における住民へのサイエンスコミュニケーションに関する情報収集と、イベントにおける参与観察を実施したい。なお、流行地および流行地でない地域の住民への聞き取り調査については、COVID-19感染拡大防止のため断念せざるを得ないと判断しているが、これについても現地の有識者等から意見収集する予定である。シンガポールにおける臨地調査は少なくとも2度(第1四半期及び11月に計画)は実施したい。
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Causes of Carryover |
COVID-19による海外渡航制限により、調査地シンガポールへの渡航を断念せざるを得ない状況により、旅費による支出が計画より下回った。2022年4月現在、同国への入国制限が撤廃され、研究代表者はワクチン接種3回目を終えている。従って2022年度には過去年に実施できなかった分の現地調査を含めて、複数回の海外調査を実施できる見込みである。
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