2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K20526
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (70713981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユマニスム / アラブ文学 / 文芸復興 / 文芸共和国 / フランス語圏文学 / アルジェリア文学 / レバノン文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は研究計画における初年度に当たるため、主に基礎的な資料の収集と分析、国外の研究者へのコンタクト、関係する作家への聞き取りを行った。文献調査においては、近世ヨーロッパのいわゆる「文芸共和国」の概念を中世アラブ世界に当てはめて論じるものや、ペルシア語圏においてそれを変奏するものがあり、また、近年研究が増えつつある19世紀のアラブ文芸復興(ナフダ)をこれと突き合わせて検討する必要が見出された。また、渡辺一夫や堀田善衛を例に日本型のユマニストの活動も視野に入れつつ、現代のアラブ作家におけるユマニスム的思考を主に言語観・歴史観を中心に検討することに着手した。折りよく、アルジェリアの作家カメル・ダーウドがアンスティテュ・フランセによって招聘され、三日間さまざまな話題を親しく聞く機会に恵まれた。レバノンで予定していたシンポジウムは当地の政治経済状況の急速な悪化を受けて中座しかけたものの、フランスのオルレアン大学に会場を移して、レバノンのフランス語作家シャリーフ・マジュダラーニーの出席のもとに開催することができた。また、このシンポジウムのコーディネート作業を通して、フランス・アルジェリア・スウェーデン・韓国などの研究者にコンタクトを取ることができた。台湾・ベルギーの研究者を招聘して年度末に予定していた国際シンポジウムは新型コロナ・ウイルスのパンデミックのため無期限延期とせざるを得なかったが、限られた条件のなかで国際的な研究交流の推進はほぼ計画通り進行したといえる。また、年度末に発行した二冊の共編著にもこの間の研究で得られた知見が一部反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルジェリアにおける長期の抗議デモ(ヒラク運動)やレバノン情勢の悪化、新型コロナ・ウイルスのパンデミックによって海外調査や国際シンポジウムの開催がだんだん制限を受けるようになったが、ぎりぎりのところでフランスでの資料調査と国際シンポジウム開催を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ・ウイルスのパンデミックによって海外調査や国際シンポジウムの開催が当分のあいだ不可能となることが見込まれるため、インターネットを通じて購入可能な資料の収集と分析、また会議システムを用いた研究会や情報収集にリソースを集中投下することが考えられる。研究成果の発表と共有は、パンデミックが終息した後にまとめて行うこととしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウイルスのパンデミックにより年度末の出張・招聘が行えなくなったため、残額が生じた。次年度は、後期に海外出張が行えるようになれば幸いだが、それが難しい場合は、会議システムの整備やインターネット上で購入が可能な資料の収集を集中的に行いたい。
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Research Products
(2 results)