2019 Fiscal Year Research-status Report
廃棄物最終処分場でのインフォーマル・リサイクルの成立から衰退:マレー語圏を事例に
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19K20530
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 俊介 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究センター), 助教 (70792208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インフォーマル・リサイクル / ウェイスト・ピッカー / リサイクル率 / 収入レベル / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学術面では、どのような条件でインフォーマル・リサイクルが成立し、どのような条件の時に最も盛んに行われ、どのような時に衰退していくのかを、東ティモール、インドネシア、マレーシアを事例に明らかにすることであり、実務面では、各条件下でどのような政策を行うことがインフォーマル・リサイクルも最も効果的に活かすことができるのかを明らかにすることである。2019年度は、2019年度は、インドネシアを対象にした研究を中心に行い、研究発表についてもインドネシアの事例を中心に行った。 2019年度の成果は、最も盛んに行われている場所であるインドネシアにおいて、インフォーマル・リサイクルを活用した政策を検討するために、ウェイスト・ピッカーの収入レベル、リサイクルへの貢献、児童労働に関する研究を行った。そして、収入レベルとリサイクルへの貢献についてそれぞれ学術誌に論文を投稿するとともに、児童労働に関する学会発表を行った。 これに加えて、2020年度に向けた準備も行った。2020年の2から3月にかけ、新型コロナ・ウィルスの問題が調査地であるインドネシアやマレーシアにおいても大きな問題となり、各国が入国制限を始めた。本研究はフィールド調査を中心にしているため、可能な限り、リモートでの調査環境の維持ができるように対応を行った。とりわけ、現地の大学との協力関係を強化し、必要に応じて、地元大学の研究者や学生による現地調査の実施も視野に入れた準備を行った。ただし、このようなリモートでの実施は、2020年度に全く調査を実施することができない場合の対応方法であり、可能な限り、自分自身での調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の頻度、投稿した論文数、行った学会発表の回数、これらは当初の予定通りであり、比較的順調に研究が進んでいると考えている。 現地調査については、2019年度に行ったのはインドネシアのみであるが、インドネシアは本研究にとって最も重要性が高い研究地である。そのため、2019年度に、インドネシアにおいて比較的長期間調査を行うことができたことは大きな成果であると考えている。調査内容としては、様々なタイプのウェイスト・ピッカーが、どのような有価物を、どの程度収集しているのか、そして、どれだけの収入を得ているのかについてである。これに加えて、どのような年齢層の子どもが、どれだけの人数労働に従事し、どのような有価物を、どの程度収集しているのか、そして、どれだけの収入を得ているのかについて調査を行った。 この調査結果に基づいて、ウェイスト・ピッカーによるリサイクルへの貢献に関する論文、ウェイスト・ピッカーの収入レベルの論文、児童労働に関する国際学会での発表を行った。まず、リサイクルへの貢献に関する論文について、本論文は、Journal of Material Cycles and Waste Managementからアクセプトされている。収入レベルに関する論文は、現在、当分野における定評のある国際誌において査読中である。児童労働に関する国際学会での発表は、Education Development Conference 2020において行った。 先述した新型コロナ・ウィルスの問題は本研究にも影響を与えている。とりわけ、2020年3月に行った調査ではその影響が大きかった。外国人の移動がかなり制限され、拠点としていた大学の一つはキャンパスへの立ち入りを禁止したため、オンラインでのやりとりが多くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、未定の部分が多く、新型コロナ・ウィルスの問題が収束するのか、継続するのかで大きく異なる。 新型コロナ・ウィルスの問題が収束した場合は、当初の計画通りに研究を進める。この場合、インドネシアとともにマレーシアでの調査を実施する。調査の内容は、ウェイスト・ピッカーが、どのような有価物を、どの程度収集しているのか、そして、どれだけの収入を得ているのかについてである。調査票等はインドネシアのバンタル・グバンでの調査で作成した物をそのまま用いる。そして、その調査結果に基づいて比較研究を行う。 新型コロナ・ウィルスの問題が収束しなかった場合は、当初の計画を大幅に変えざるを得ない。本研究は、現地調査を基本としているため、新型コロナ・ウィルスの問題の影響は極めて大きいと言わざるを得ない。現状においてこれまでに取得したデータが比較的多くあるため、その分析を中心に行う。加えて、これまでの研究のレビューを行うことで今後の研究に備える。
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