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2022 Fiscal Year Research-status Report

中所得国の早期脱工業化:マレーシアとフィリピンの事例研究

Research Project

Project/Area Number 19K20534
Research InstitutionTeikyo University

Principal Investigator

苅込 俊二  帝京大学, 経済学部, 准教授 (90755761)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords中所得国の罠 / 早期脱工業化 / AI・ロボティクス / 産業構造の高度化 / 第四次産業革命
Outline of Annual Research Achievements

これまでの開発経済学の研究は、製造業主導の工業化を経済成長の原動力として捉えることが多かった。製造業部門は雇用吸収力が高い上、技術進歩が速く生産性も向上しやすいので、経済全体の成長を押し上げやすいからである。しかし、2000年代に入り、開発途上国では所得が十分に高まらない段階で経済に占める製造業割合がピークアウトしてしまう事象「早すぎる脱工業化(Premature de-industrialization)」が観察されるようになり、開発途上国の発展を遅滞させる課題と指摘されてきた(Dasugupta and Shin (2006)、Rodrik (2015)など)。
では、開発途上国における「早すぎる脱工業化」はなぜ生じているのか。たしかに、中国における圧倒的な生産規模と急速なAIやロボティクス化に伴う労働省力化の動きは途上国の製造業部門拡大を阻害する要因となっている(Paus(2019))。しかし、現在、製造業とサービス業では融合が進み、両者の境界が区別しづらくなっている。実際、製造工程が細分化されるにつれて、その一部がサービス業務として外注されると製造業のシェアはテクニカルに低下する。また、工業製品はもはや単体では存在せず、ネットで利用者とつながるなどサービスが付随する製品が主流である。さらに、スマートフォンのアプリのように、サービス部門が製造業自体を増強・補完する役割を担うようになっている。その結果、マレーシアでは製造業の弱体化を通じた脱工業化の動きが部分的に観察されるも、フィリピンでは製造業と同様、IT-BPOといったサービス部門も成長のけん引役になっている。また、2000年代以降、デジタル化の急速な進展は製造業とサービス業の融合を引き起こしており、こうした環境変化が「製造業部門シェアの水準及び傾向的低下」をもたらしていることを明らかにした(苅込(2022))。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、2021年度に中所得国(世界銀行の所得分類による103カ国)を対象に、各国の産業構造を国民所得統計、労働統計による就業者数、貿易データなどを切り口として、網羅的なサーベイを行った。具体的には、産業構造の統計的分析を通じて、製造業のシェアが拡大した時期、減少した時期を確認しながら、産業構造変化の背景・要因を特定・類型化を試みた。
本来であれば、上記の成果・妥当性を検証すべく、マレーシアおよびフィリピンにおける現地調査を行う必要があるが、コロナ禍に伴う渡航制限によって、実施がかなわない状況にあった。

Strategy for Future Research Activity

すでに、データ等を用いた検証は終えているが、その実態を把握、確認するためには現地調査が不可欠である。早急にマレーシアおよびフィリピンへの現地調査を実施し、その成果を基に最終成果を纏めたいと考えている。また、プロジェクトの最終年度であることを踏まえて、成果を論文の形で纏め、対外発表を行う。

Causes of Carryover

コロナ禍に伴い実施できなかった現地調査を実施する。
また、研究最終年度であることから、成果を取り纏めた論文の雑誌投稿にかかる投稿料も含まれる

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] VUCAの時代におけるASEAN経済一中所得国の発展戦略分析に向けた視座2023

    • Author(s)
      苅込俊二、橋徹、原正敏
    • Journal Title

      帝京経済学研究

      Volume: 56巻第2号 Pages: 35-51

URL: 

Published: 2023-12-25  

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