2020 Fiscal Year Research-status Report
「難民」問題と援助の関係性‐アフガニスタン人を例に
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19K20535
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
嶋田 晴行 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50568110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アフガニスタン / 移民 / カナダ |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により予定していたカナダあるいはドイツでの現地調査は延期を余儀なくされた。それに代わって、2019年度に引き続き、カナダに在住するアフガニスタン移民(博士課程在学中)に現地での聞き取り調査を委託し、カナダにおいても外出制限がかかるなど困難な状況の中で計8名から回答を得ることができた。それらによれば、親戚、友人などがすでに移住しているという人的ネットワークが存在したという事実に加え、カナダは移民・難民に対して好意的な国であるとの事前の情報あるいはイメージがアフガニスタン人たちが移住先として選んだ最大の理由であることが再確認できた。しかし、現実を見れば、高い住居および生活費、そして今回の聞き取り対象者の多くがそうであるが、母国で専門的な職に就いていたものにとっては、カナダの労働市場は決してあらゆる人々に開放されたものではなく、清掃や飲食店(皿洗い)などの業務にしか従事できない現状、そしてそれらに対してアフガニスタン移民たちが、移民という立場上公に明らかにすることもないが、それなりの不満があることも明らかになった。しかし、それでも母国アフガニスタンの治安、経済状況は悪化の一途を辿り、またアフガニスタン政府とタリバーンとの和平交渉も遅々として進まず、加えて米国がその軍事的介入を見直すことが確実な中、アフガニスタン国外で生活できること、特にカナダという比較的安定した状況で暮らせることに最低限以上の満足感を彼ら彼女たちの中に見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により研究代表者本人により現地調査が不可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査・研究は2021年度も延長し実施する。現状では海外における調査は引き続き困難であると思われるところ、より深い聞き取り調査を現地在住のアフガニスタン移民の調査員を通じて継続的に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度に引き続きコロナ禍により海外出張が不可能となったため。2021年度も海外調査の可能性を探りつつ、現地の調査員を活用するなどして調査・研究を継続する。
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Research Products
(1 results)