2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K20539
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 明子 (村上明子) 北海道大学, 経済学研究院, 研究員 (50735826)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イラン / 女性 / エンパワメント |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は総括を中心に取り組んだ。まずはSNSを中心に展開された官民連携型女性起業家支援の「制裁世代の女性たち」キャンペーンの包括的評価に取り組んだ。このキャンペーンは、イラン経済の悪化とその補完としての開発計画の展開という、マクロ政策の延長線上に位置づけられる。手法としては、関連文献や統計資料とSNSの分析、現地関係者へのオンラインインタビューを元に進めた。女性のポテンシャルを動員したい政権側の意図するところに女性起業家たちがどのように与しているのか――つまり「女性のエンパワメント推進」が関係者それぞれにとってどのような取り組みとなったのか、評価を進めた。 合わせて、デジタル経済やリプロダクティブ・ヘルス/ライツなど、関連領域の研究成果についても改めて論点整理を行い、イラン社会を分析する上での留意点について関係者との情報交換を行った。 またCOVID19以降の実態把握に向けて、現地調査を計画した。しかし、各種調整に難航した挙句、2022年9月以降に世界的に展開された「女性、生命、自由」運動の関係で現地調査は断念せざるを得なかった。そこで各種報道や現地関係者からの情報提供を元に、同運動の動向と意義について考察を進めた。さらにはイランが中国、ロシアと外交関係を急速に深めつつあることもあり、国際環境の変化がイラン市民の意識にどのように作用しているか、またそれが女性の経済活動に如何なる影響を及ぼすのか――この点も総括に反映できるよう考察を進めた。 以上について、一般読者向けの論考としてまとめた。本研究期間全体を通して、感染症の影響や現地の経済社会状況、そして国際関係など、ありとあらゆる環境が劇的に変動した。こうした要素を注意深く考慮しながら、イラン社会のダイナミズムが伝わるよう総括をとりまとめた。
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