2019 Fiscal Year Research-status Report
民主化期インドネシアの地方王権ネットワークに関する人類学的研究
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19K20544
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西島 薫 京都大学, スーパーグローバルコース人文社会科学系ユニット, 特定助教 (30838793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インドネシア / 地方王権 / 民主化・分権化 / ダヤック人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、①国外でのフィールドワークと文献調査、②国内での文献調査そして③学会等での口頭発表を軸として研究活動をおこなった。①の国外でのフィールドワークでは、インドネシア共和国西カリマンタン州にて、在来政体を構成する神器を中核とした人々のネットワークと地方政治の不整合な関係を明らかにする目的でフィールドワークをおこなった。広範囲にわたる人々への聞き取り調査を実施したことで、在来政体の「周縁」から見た「中心」の求心性、在来政体の政治と地方政治の差異が在来政体に分断をもたらす要因についての質的データを得ることができた。インドネシアの現地調査では、インドネシア語文献や現地の研究者の執筆した著作など、国内で入手困難なインドネシアの在来政体に関する文献資料を渉猟することもできた。また②の国内での文献調査に関しては、本研究課題で比較対象に設定していたスラウェシ、バリ、ジャワなどのインドネシアの在来政体に関する先行研究、オセアニアそしてアフリカにおける国家と在来政体の関係についての先行研究、文化人類学およびその周辺領域の王権研究や親族研究におもな焦点をおもな当て、文献資料の渉猟をおこなった。とくに文献調査からは、オセアニア地域における国家と慣習的権威者の併存に関する先行研究が比較対象として有効であるという知見を得ることができた。③の学会等での口頭発表に関しては、2019年度の研究活動の成果の一部として、2019年度日本文化人類学会第53回研究大会(2019年6月1日、於東北大学)、および日本インドネシア学会(2019年11月9日、於大阪大学)にて口頭発表をおこない貴重なコメントや指摘を頂いた。上記2つの口頭発表で受けたコメントや指摘を反映させ、「アジア・アフリカ地域研究」および「東南アジア研究」に査読論文として投稿する準備を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由として以下の3点を挙げることができる。第1に、2019年度に予定していた現地調査において、十分なデータをそろえることができた。第2に、日本国内およびインドネシアにて入手可能な文献資料に関して十分な量を渉猟することができた。とくにインドネシア国内での文献調査については本年度のうちに終えることができた。そして第3に、口頭発表をおこなうことで最終年度に研究成果を投稿論文として発表する準備を整えることができた。インドネシア他地域やオセアニア地域との比較研究については来年度の課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に現地調査で収集したデータをもとに研究成果を査読論文として「アジア・アフリカ地域研究」や「東南アジア研究」に発表することを目標にしている。2020年度はおもに国内にて文献や史料を用いて研究を遂行する予定であるものの、可能であれば短期間の現地調査をおこない適宜データを収集する。とくに来年度は文献資料を用いたインドネシア他地域やオセアニア地域との比較研究を進める。
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