2019 Fiscal Year Research-status Report
マレーシアにおける定住した狩猟採集民が現代的社会問題を克服するための実証的研究
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19K20548
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 裕美 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (10646904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マレーシア / 狩猟採集民 / 社会問題 / アルコール依存症 / 教育問題 / 就業問題 / 土地問題 / 医療へのアクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マレーシアにおける定住した狩猟採集民が抱える社会問題の把握と、それが起こる背景を分析することを目的とする。研究期間の初年度に当たる2020年度は、具体的な社会問題を整理するために、マレーシアでの現地調査を実施した。 (1)サラワク州ラジャン川上流における定住した狩猟採集民の調査:2019年9月にマレーシア、サラワク州ラジャン川上流において、定住した狩猟採集民の社会問題の現状把握を目的とした調査を実施した。具体的には①アルコール依存症、②医療へのアクセス、③公教育からのドロップアウト、④就業問題、⑤土地問題などが確認された。①のアルコール依存症は、特に20代から50代の幅広い年代の男性でみられた。家族や周りの村人がこれを問題ととらえている場合が多く、なかには幻覚、幻聴、暴れる、失神などの症状から、入院する人もいる。アルコールは、賃金を得た際に、多くの人に分配しやすい点も、原因の一つであると考えられる。この状況は②の医療へのアクセスの問題とも関わっており、より深刻である。 (2)定住した狩猟採集民の生業活動の分析:定住した狩猟採集民の重要な生業活動の一つである籐(ラタン)の採集と工芸品制作に関する調査を行った。特に観光との関係から、女性がどのような工芸品を制作し、どのようなモチーフを編み込むのか、そしてどのような人が買い手となっているのかを分析した。分析した結果は、晃洋書房から出版した『世界の工芸と観光』という本に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、2020年3月に予定していたマレーシアでの現地調査を中止した。これまでに収集したデータの分析と原稿の執筆に時間を費やしたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年3月に予定していた現地調査は2020年9月に実施する予定である。新型コロナウイルスの影響で調査が実施できない場合は、これまでに収集したデータのさらなる分析と論文の執筆に努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、2020年3月に予定していたマレーシアでの現地調査を延期せざるを得なくなったため。調査のために使用する予定だった旅費は、2020年度に現地調査を実施し、使用する予定である。
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