2021 Fiscal Year Research-status Report
マレーシアにおける定住した狩猟採集民が現代的社会問題を克服するための実証的研究
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19K20548
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 裕美 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (10646904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 狩猟採集 / マレーシア / インドネシア / マイノリティ / 少数民族 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究計画では、2021年8月と、2022年3月にマレーシアでの海外調査を実施する予定であった。また、マレーシアで開催される国際学会で研究成果の発表を予定していた。しかし、新型コロナウィルスの影響により、海外調査を実施することができず、国際学会は開催が中止された。 そのため、文献調査及び、これまで収集したデータの分析に力を入れた。また、現地調査は実施できなかったが、国際通話やビデオ通話を利用したインタビューを実施した。その結果、マレーシア、サラワク州内陸部の村落社会では、ヤマアラシの胃石の交易により、罠猟の種類が多様化し、設置場所の地理的範囲が広域化していることがあきらかになった。また狩猟採集以外の一時的な現金収入減としての賃金労働が多様化していることが明らかになった。インドネシア人の現地化については、広範囲で見られ、特にアレーシア人との間に子供がいるインドネシア人については、マレーシア社会への統合がさらに進むようである。狩猟採集民と学校教育の関係については、コロナ禍を含めて、学校教育離れが進行しているようである。今後さらなる動向を調査していきたい。 また、海外で調査ができなかったため、比較として日本国内での狩猟の調査を実施した。特に福井県坂井市や福井県美浜町における冬季の熊猟、シカ猟、イノシシ猟の調査を 実施し、狩猟をもとにした山間部の生活の記録を行った。今後マレーシアでの狩猟と比較していきたい。 研究業績としては、インドネシア人の現地化に関する論文を執筆中であり、今年度中に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、2021年8月及び2022年3月に予定していたマレーシアでの現地調査が実施できなかった。また国際学会の開催が中止され、研究成果の発表ができなかった。しかしながら、2022年4月より、マレーシアでの入国規制が緩和され、遅れていた現地調査を今後実施できる見通しが立ってきた。また、現地調査ができない期間はビデオ通話を利用したインタビューを行い調査を進めたり、文献調査や国内調査に切り替えたため、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年4月より、マレーシアでの入国規制が緩和されたため、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見定めつつ進めていきたい。また、現地調査ができない場合は、ビデオ通話を利用したインタビューを行ったり、文献調査を行う予定である。また、これまで収集したデータの分析や論文の執筆に努める。オンラインで開催される国際学会や国内学会に積極的に参加していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、マレーシアでの現地調査が実施できなかったため。翌年度に海外調査を実施予定である。
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