2023 Fiscal Year Research-status Report
マレーシアにおける定住した狩猟採集民が現代的社会問題を克服するための実証的研究
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19K20548
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 裕美 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (10646904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 地域研究 / 東南アジア / 森林開発 / 社会開発 / 少数民族 / 森林資源利用 / 社会変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月~9月にかけて、マレーシア、サラワク州のバラム川流域、タタウ川流域、クムナ川流域、およびブラガにおいて現地調査を実施した。現地調査では、コロナ禍を経た先住民社会の生業変化及び、ヒゲイノシシやラタンをはじめとする森林資源利用についてアンケート調査とインタビュー調査を実施した。2023年8月にはバラム川のアカ川流域に居住する、クラビット人、及びプナン人の複数村を訪れヒゲイノシシやシカなど野生動物の狩猟、ラタンなどの森林資源の利用、稲作、商品作物栽培の状況についてインタビュー調査を実施した。2023年9月にはタタウ川およびクムナ川流域のイバン人、ブカタン人、カヤン人、プナン人などの複数の先住民村落を訪れ、アブラヤシ栽培の拡大や稲作の減少についてインタビュー調査を実施した。また、アフリカ豚熱の影響による狩猟活動の変化についても調査を実施した。これらの地域、およびブラガで実施した調査の結果は、国際誌に投稿するべく、現在論文を執筆中である。 生業調査のほか、サラワク先住民社会におけるインドネシア人の婚入に関する調査結果を、論集の1章として出版した。また、第57回文化人類学会(県立広島大学開催)において、口頭発表をした。また、ボルネオ島におけるイノシシ猟およびアフリカ豚熱の影響と、福井県における狩猟の比較を短報に執筆した。また、ブラガの先住民であるシハン人の移動や生業に関する研究成果を複数の研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、2020年から2022年に計画していた、マレーシアでの現地調査が実施できず、その分計画が後ろ倒しになったため、進捗状況はやや遅れている。しかしながら、アフリカ豚熱の影響やコロナ禍により、当初予定していなかった調査データを取得することができた。今後はこれらのデータの分析に力を入れていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年8月~9月の調査で得たデータの分析を進め、国際誌への論文投稿を目指す。また、2025年3月にマレーシアでの補足調査を計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、2020年から2022年に計画していた、マレーシアでの現地調査が実施できず、その分計画が後ろ倒しになった。そのため、翌年度にも海外調査を実施予定である。
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