2019 Fiscal Year Research-status Report
視線情報を用いた観光資源に対する潜在的注目度調査システムの開発に関する研究
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19K20562
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 秋典 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (90236258)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視線解析 / 観光資源創出 / 潜在的注目度 |
Outline of Annual Research Achievements |
訪日外国人が増加する現状において,小規模自治体の有する観光資源に対する注目度を定量的に評価する仕組みは,観光政策への貢献も期待される。本研究の目的は,デジタルサイネージディスプレイに表示される各種観光資源に関する写真やデザインを閲覧したときの利用者の視線データを解析して,観光資源コンテンツに対する潜在的な注目度を推定し評価するシステムを構築することである。 初年度の研究では,観光資源コンテンツとディスプレイに表示して閲覧可能とするアプリケーションを開発して,視線追跡デバイスを用いて利用者閲覧時の視線データを計測・解析する試作システムを構築した。試作システムでは,計測された視線データよりコンテンツの興味感心領域に対する注視時間,注視回数を計測し,予備的検討から得られていた注視時間の長いコンテンツ領域を抽出するアルゴリズムを構築した。実証実験を行うための予備実験では,自治体の発行する観光パンフレットを電子化した画像ファイルを観光資源コンテンツとして利用したところ,閲覧者の注視時間と短期記憶との間に相関関係があることが確認できた。しかし,パンフレットのページ操作もディスプレイ上で行うという不自然さが問題点として挙げられたため,実際のパンフレットを閲覧している様子をWebカメラによりページ操作動作を画像認識し,視線追跡デバイスからの視線データと連動して計測するシステムを構築した。さらに,観光案内所などに置かれている観光パンフレットの陳列棚に対する来場者の視線情報も観光地の注目度を図ることができる有用なデータと考え,広範囲領域に対する視線データを計測するためにWebカメラを利用した閲覧者の頭部姿勢から視線方向を推測するシステムの構築を行った。 これらの試作システムを用いた検証実験は,令和2年度以降に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における初年度の研究計画では,重要ポイントとなる観光資源コンテンツに対する選好判断と視線情報との相関関係の検証,注目度推定手法およびコンテンツ表示方法の考案,利用性の高い調査アプリケーションの考案を並行して検討することであった。 初年度では視線追跡デバイスおよびWebカメラを用いた視線追跡システムを試作し予備実験を実施する段階まで達成できた。予備実験においては被験者数が少数であったが,注視領域の抽出精度においては比較的良好な結果が得られている。また,計測した視線データをリアルタイムで視認性の高い可視化表現に変換する検討を行なっており,閲覧対象となる背景画像に対して複数の被験者の注視領域を描画する手法を適用させることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では,視線解析の精度ならびにシステムの利便性向上に向けた検討を進めながら,観光施設などでの実証実験を並行的に行なっていく予定であったが,令和2年度上半期ぐらいまでは実地検証が困難であると推測されるので,観光施設などを想定した仮想的な環境を研究施設に設置して検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
計画当初予定した設備備品の視線追跡デバイス専用解析ソフトについて,汎用ライブラリの利用や解析方法の再検討を行った結果,ソフト購入を見送ったため,残額が生じた。視線追跡データ解析については独自開発ソフトを用いることにより,試作システムの構築が可能となったため,研究計画に大きな影響は与えないと考えている。 この残額は,令和2年度に予定している実証実験経費に組み込む予定である。
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Research Products
(10 results)