2020 Fiscal Year Research-status Report
Study Tour for Promoting Tourist's Participation in Community Development
Project/Area Number |
19K20564
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
Ho QuangBach 東京工業大学, 工学院, 助教 (90802893)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 観光 / 旅行者 / 学習 / 自己効力感 / 地域づくり / ツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スタディツアーにおける学習が旅行者の地域づくりへの参加意欲に与える影響を明らかにすることである。スタディツアーとは旅行者が訪問地域の住民と交流しながら地域の特色や課題について体験的に学習する観光形態を指し、地域づくりの担い手不足の解消に寄与することが期待される。令和2年度は、旅行者の学習プロセスが学習成果および学習目的である地域づくりへの参加意欲にどのような影響を与えるのかを明らかにするために、質問紙調査を実施した。 本研究では、文献レビューを通じて、学習プロセスを明示的学びと暗黙的学びの2つに類型化した。明示的学びとは、意識的な言動を通じて旅行者が学習コンテンツを学び取る過程である。一方、暗黙的学びとは無意識的に旅行者が暗黙裡に学習コンテンツを学び取られる過程を指す。先行研究から、学習成果は知識獲得と自己効力感の2つに着目した。修学旅行を通じてスタディツアーに参加した高校生を対象に質問紙調査を実施し、2441名からの回答を得た。 分析結果から、学習プロセスから学習成果への影響に関しては、明示的学びは知識獲得にあまり影響を与えないが自己効力感を高めることがわかった。一方で、暗黙的学びは自己効力感よりも知識獲得に強い正の影響を与える。学習成果から学習目的への影響に関しては、知識獲得が地域づくりへの参加意欲を強く促す一方で、自己効力感はあまり効果が無いことがわかった。しかし、自己効力感は明示的学び及び暗黙的学びよりも知識獲得に強い正の影響を与える。すなわち、旅行者の地域づくりへの参加意欲を高めるには、暗黙的学びを通じて直接的に知識獲得を促しながらも、明示的学びを通じて自己効力感を高めることを通じて間接的に知識獲得を促すことも重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である令和1年度における聞き取り調査および文献レビューを通じて、研究目的である「スタディツアーにおける学習が旅行者の地域づくりへの参加意欲に与える影響を明らかにする」に関する新奇的で社会的意義のある仮説を導出できた。令和2年度では質問紙調査を通じて、昨年度に構築した仮説を検証した。分析結果は研究目的を達成するものであり、研究成果が国際ジャーナルに採択されたことからも、本研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
世界的に新型コロナウィルスが流行した影響で国際会議等への参加が困難となり、予定を変更することを余儀なくされた。今後は、遠隔会議等を通じて海外の研究者との意見交換を増やし、これまでの研究成果の世界的な位置付けを明確にすることを目指す。加えて、文献調査も追加して実施することで、本研究の理論的な貢献および実践への適用範囲について考察する。この作業を通じて、これまでに得られたデータを再整理することにより、研究成果のさらなる論文化に繋げる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスが世界的に流行した影響で国際会議等への参加が出来なくなった。加えて、観光を対象とする本研究は研究対象の性質に関して大きな変化が求められるようになり、その影響について研究成果を位置付けるには改めて文献調査を深める必要が生じた。このため、オンラインを通じた国際会議への参加や研究会の開催、および文献調査のための資料購入費として研究費を使用する予定である。
|