2019 Fiscal Year Research-status Report
SDGs and Community based Tourism and City Planning: Shuri Land Formation Area
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19K20570
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮国 薫子 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (10300500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 持続可能な観光 / SDGs / まちづくり / 観光リンケージ / DMO |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、主に3点ある。まずはじめに、近年、観光客が著しく増加している首里景観形成地域において、持続可能な観光推進のための基礎調査として世界の歴史あるデスティネーションで行われている地域住民の観光に対する態度を把握することである。2つめには、観光リンケージのフレームワーク(構造物・視覚・情報・交通・経済/マーケティング・インタープリテーション)に照らし合わせて、観光開発の段階を把握することにある。最後に、観光とSDGsの関係を整理した後で、地域を形作るDMO (Destination Marketing Organization) の在り方を構築することにある。 そのために、研究計画では、世界の特徴ある観光地や成功した街づくりをしている自治体の視察と聞き取り調査、首里景観形成地域のステイクホルダーへの聞き取り調査、地域住民のアンケート調査を行う。 今年度は、広く観光のインパクトやDMOについての文献の収集と、計画していた海外のDMOや地域計画機関のインタビュー調査を行った。9月に米国カリフォルニア州ロサンゼルスの都市計画機関やニューメキシコ州観光局、同州サンタフェのDMOやエコツーリズム事業者、ハワイ州DMOの代表者たちに聞き取り調査を行った。 ニューメキシコ州観光局では、州知事の交代による観光行政の見直し、そのための地域住民の調査を、各郡で始めたことがわかった。同州サンタフェでは、観光リンケージにおけるマーケティングプロモーションの大部分が外部の主要メディアによって宣伝されるていること、ロサンゼルスでは、歩ける街づくりや公共交通に注力していること、ハワイでは、SDGsと観光との関わりを重視していることなどが確認された。 SDGsと観光との関わりについては、SDGs関連やUNUTOの報告書等の文献を収集し、SDGsの17の目標と169のターゲットについて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10月に首里城が焼失したことから、昨年と比べて、観光客の動向が大きく変わった。そのことから、地域住民の観光に対する態度にも影響を及ぼした可能性がある。よって、地域住民の観光に対する態度のアンケート調査は、2020年度に行う計画であったが、その前段階調査としての首里景観形成地域における主なステイクホルダーへの聞き取り調査の内容を少し、吟味する必要があると感じ、熟考するのに時間がかかっていた。
また、2月後半新型コロナウィルスによる人との接触自粛のため、2020年3月に予定していた首里景観形成地域関係者への聞き取り調査ができなかった。また、2019年9月には、海外の自治体訪問を行うことができたが、2020年3月に予定していた海外の自治体への訪問は、できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
未だに新型コロナウィルスによる人との接触自粛があるため、しばらくは、当該地域の関係者との聞き取り調査が、対面ではできないが、様々な会議ソフトを使って、インタビュー調査をしていきたい。 今年度行う地域住民のアンケート調査は、以前のアンケート回収の方法に従って、訪問調査を主に考えていたが、いつ新型コロナウィルスの問題が収束するかがわからないので、アンケート調査を郵送やインターネットで行っていくつもりである。 新型コロナウィルスの問題による海外渡航禁止が解けて、状況が収まり次第、海外の自治体への視察や聞き取り調査を再開するつもりでいる。当面は、聞き取り調査を、電子メールや会議ソフトで行うことも考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度は、首里城が消失してしまったため、首里景観形成地域の地域住民を対象としている本研究においては、ステイクホルダーへの聞き取り調査の内容を吟味するのに時間がかかり、聞き取り調査ができなかったために、謝金が一部、使われなかった。今年度は、対象地域のステイクホルダーへの質問事項がほぼ作成されたので、前期の授業が終わり次第、8月頃から、聞き取り調査をオンラインや対面で行う。 当初、研究計画にあった米国の自治体やDMOへの視察と聞き取り調査を行うことができ、聞き取り調査の相手に謝金を渡したが、そのなかには、謝金を受け取らずにインタビューに応じてくれる自治体職員もいた。よって、予定していた謝金が少々使われなかった事情がある。これからは、事前にそのことを相手に伝えて、把握しておくようにする。 3月に英国の自治体への視察と聞き取り調査を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で、海外渡航禁止となり、それが行えなかったことにより、昨年度分の旅費と謝金を使用することができなかった。英国の自治体への視察と聞き取り調査は、様子を見ながら、今年の9月後半以降、行う計画である。
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