2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Effects of Tourist Attributes and Travel Forms on Tourist's Person Trips
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19K20573
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
河内 良彰 佛教大学, 社会学部, 准教授 (70804889)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 復興ツーリズム / ダークツーリズム / 観光回遊行動 / 観光回遊コース / 震災遺構 / 震災伝承施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、震災遺構や震災伝承施設の観光資源としての概要とそれらの観光地化の過程を検討し、観光回遊コースの把握を行った。第3分類の震災伝承施設を網羅し、日本の被災地に関する視野角を広げることを目指した。2016年に発生した熊本地震の災害遺産を2023年11月に巡見し、関連する郷土資料と災害記録を集めた。各地の図書館や資料館で資料検索に努めたほか、熊本市から阿蘇市にかけて広域的に整備されている伝承施設を訪れた。南阿蘇村の「熊本地震震災ミュージアムKIOKU」の視察では、熊本地震の記憶を未来へ遺して訪問者が学ぶための「回廊型フィールドミュージアム」の整備過程を把握し、災害に強い資産を次世代につなぐための熊本県の新創造の取組内容に関する情報を得た。岩手県宮古市の震災遺構に関する現状把握と関連する郷土資料の整理に時間を割き、二次資料より地域の復興状況と被災者の様々な生活再建に接し、2022年度からのダークツーリズム研究を進展させて震災遺構に関する知見を広げた。 2023年度の研究成果については、今後の研究方向に関する熟考や調査計画の練り直しに相当の時間を要した。東北地方における東日本大震災の被災地の中長期的な調査計画を温め、結果的に刊行物など目に見える成果が現れることはなかったが、関連研究を展開させるための段取りが整った。先行研究の把握と収集、現地調査のスケジュール、調査先の選定、調査時期と調査期間の設定などについて、調査研究を円滑に進めるうえで内的な躍進があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和6年度を最終年度(予定)と定め、2024年度はこれまでの調査の追加調査を検討している。被災地におけるフィールドワークがベースとなるため調査する時期が限られ、予定通りにいかない場合があったことが主要な理由である。東北地方沿岸部の自治体に保存されている震災遺構の視察や災害現場への訪問を継続して被災者と認識を共有し、研究の精緻化を図っている。 現地の図書館や資料館、博物館などを訪れ、資料収集、語り部や被災者への聞き取り調査、カメラを用いた写真・動画の撮影、フィールドノートへの記録を中心に行っている。二次資料を丹念に読み込みつつ震災遺構に関する記録や住民や旅行者の案内役を務める語り部の記憶についてヒアリングし、それらを後世に語り継ぎ、災害列島に生きるうえでの教訓を残すための研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度を最終年度(予定)と定め、以下の自治体および施設について現地調査・追加調査を行う計画である。岩手県陸前高田市の「東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)」、「高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設」、「陸前高田市立博物館」、タピック45(旧道の駅高田松原)、「気仙中学校」、「3.11希望の灯り」、「ハナミズキのみち」、「二度と散らないねがい桜」、「陸前高田市東日本大震災追悼施設」、「震災伝承看板「救援ルートを切り啓いた 「くしの歯作戦」(陸前高田市)」」、「3.11仮設住宅体験館」。青森県八戸市の「八戸市みなと体験学習館」、「八戸港震災復興メモリアル看板」、「津波記憶石第29号」、「津波記憶石第30号」、「五戸川震災復興メモリアル看板」、「奥入瀬川・明神川震災復興メモリアル看板」、「「奇跡の鳥居」解説板」、「津波記憶石第31号」、青森県三沢市の「津波の碑」、「津波の証」、青森県階上町の「津波石碑(海嘯記念碑)」。
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Causes of Carryover |
2023年度より長期的な視点に基づいて現実路線にシフトし、被災地におけるフィールドワークに基づく観光資源の概要や観光地化の過程の把握、観光回遊コースの提案に向けて研究を進めてきた。復興ツーリズムとダークツーリズムに関する文献を渉猟し、東日本大震災の被災地の可能性やそのための条件に関する調査と分析、考察を継続する。当該研究を2024年度まで延長することが許容され、使用額を変更した。
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