2019 Fiscal Year Research-status Report
Rethinking Women's Empowerment Support in Africa: Intra-household Decision-making and Income Generation
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19K20586
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
甲斐田 きよみ 文京学院大学, 外国語学部, 助教 (20783608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 世帯内意思決定 / ジェンダーと開発 / 女性のエンパワーメント / カメルーン / アフリカ農村経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、女性が収入を得ることが世帯内の意思決定プロセスにどのような影響を与えるか、カメルーンの農村を事例に検証することである。 令和元年度はカメルーン中央州レキエ県の農村において、8月及び1月に各10日間の調査を実施した。調査対象はレキエ県内に1,082人の組合員をもつ女性の協同組合で、組合員に対して個別インタビューを実施した。また同地域で稲作プロジェクトに参加している女性および男性にも個別インタビューを実施した。調査地域はカカオの一大産地で、男性の多くはカカオを所有し、年に1回収穫したカカオ豆を仲買人に販売し、現金収入を得ている。一方、女性はキャッサバを中心に、メイズ、プランテーン、葉物野菜などを育て、仲買人に販売し週に1~2回は現金を得ている。養豚や養鶏、キャッサバの加工品を販売する女性もいる。男性は家屋と教育費、食料に、女性は食料と子どもの日々のニーズの確保に責任があるとみなされているが、男性が教育費や生活費を支出しない例も多い。女性は家事・育児の全てを行い、夫のカカオ畑の作業を無償で行う。結婚は男性が女性の家族に婚資を支払い、役所で結婚証明書を得ることで法律婚となる。婚資を払えず事実婚として同居を続ける例も多いが、事実婚の場合、男性の死後、男性の親戚が家屋と土地を相続するため、女性は土地と住居を失う。ポリガミーが広く実践され、男性からの暴力もあるが、多くの女性は男性との関係維持を重視し、離婚を否定的に捉えていた。 女性が収入を得る手段が農業以外に限られているため、女性にとって土地を確保することが生計の確保に重要である。経済力があれば女性が土地を購入することは可能だが、多くの女性にとっては難しい。法律婚により夫の土地を得ることが確実な土地入手手段となる。そのため婚姻関係維持が女性にとって重要となり、世帯内での力関係に影響を与えていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年8月にカメルーンを訪問し、中央州レキエ県で現地調査に協力可能な女性組合を探し、インタビュー調査を実施していたため、令和元年度はスムーズに現地調査を実施できた。8月の現地調査では女性組合の8か村21人に個別インタビュー、女性組合の各村の代表者54人に対してアンケート調査を実施した。また1月に現地調査を研究協力者に依頼して現地調査を実施し、37人に個別インタビューを行った。特に夫妻に対してインタビューを実施した。調査対象地域の農家の活動、女性だけでなく男性への個別インタビューにより世帯内のやり取りについて質的データを得ることができた。平成30年8月、令和元年8月の調査を元に、10月の農村生活学会において「カメルーン農村における女性の経済活動」の題目で口頭発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響でカメルーンでの現地調査は不可能と思われる。そのため現地調査を行いデータを収集するという計画は変更せざるを得ない。 今年度はこれまでに得た質的データを分析し、結果をまとめていく。また世帯内意思決定に関する先行研究の整理、カメルーン農村の経済活動やジェンダー規範に関する文献調査を引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
2020年1月下旬に研究協力者による現地調査を行った。現地でのインタビュー協力者への謝金が予定より少なかったため差額が生じた。しかしながら精算が終わり差額が明らかになったときは年度の終わりであったため年度内に使用しなかった。
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