2019 Fiscal Year Research-status Report
トランスジェンダーの子を持つ親への心理的援助プログラムの開発
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19K20587
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
堀川 聡司 目白大学, 人間学部, 助教 (60755940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トランスジェンダ― / 親子関係 / 中年期危機 / 精神分析 / ジェンダー論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に以下の3つの点について研究を進めた。 ①トランスジェンダーの子をもつ親が集う当事者団体のミーティングへの参加。そこで今日的な事情や悩み事についての情報収集を行った。その中で、昨今のLGBTブームの関係で一般的な認知度は飛躍的に向上しており、そのために生活しやすい環境ができている声もある一方で、当事者の心理的な苦痛、親の対応の難しさは変わらずあることが確認された。 ②トランスジェンダーの子をもつ親の事例研究。報告者が心理士として出会ったクライエントとの支援過程について振り返り、本研究課題の視点から考察した。その際、注目されたのはやはり自身が抱くセクシュアリティ観の俯瞰と解体、そして再統合であったが、それは直線的に進むものではなく、支援者との関係性の中で紆余曲折するものであった。 ③性別違和を抱く当事者のアセスメントに関する研究。トランスジェンダーと診断されるには至らないものの心理士のもとを訪れた人に対して行ったアセスメントを事例論文としてまとめた。アセスメントにあたっては「ロールシャッハ・テスト」を主に用いた。そこからはセクシュアリティやジェンダーに関する明瞭な指標は浮かび上がってこなかったものの、クライエントが抱える対人関係上の困難や不安の性質が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の主要な手法である、トランスジェンダーの子を持つ親への個別のインタビューが当初の予定に反して、データが少ない状況である。またその内訳も、FTM(女性として生まれ育ち、男性と自己規定する人)の子をもつ親のデータが多く、MTF(男性として生まれ育ち、女性と自己規定する人)の子の親のデータが不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、引き続き当事者の親と直接的にコンタクトを取り、調査研究を実施、データの蓄積に努めたい。しかし、昨今流行しているCOVID19の感染拡大の状況によっては、予定通りの調査を実施するのが難しいかもしれない。その場合、オンライン面談のような形を取るなど柔軟な対応が必要になるだろう。
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Causes of Carryover |
2020年3月に開催予定であった「日本GID学会」の学術大会が、新型コロナウイルス感染拡大の状況をうけ中止された。そのためそこで支出予定であった大会参加費、出張費、滞在費が不要となった。
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Research Products
(1 results)