2023 Fiscal Year Research-status Report
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19K20588
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
佐藤 繭香 武蔵大学, 人文学部, 教授 (60433877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 女性参政権 / キリスト教女子青年会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き、日本基督教女子青年会(日本YWCA)に注目し、この組織が日本の女性参政権運動の中でどのような役割を果たしたのかということに注目した。特に、海外の女性参政権活動家らとの接点、また世界基督教女子青年会が女性参政権を後押しする中で、日本YWCAはどのように対応しようとしたのかに焦点を置いた。 史料としては、公益財団法人東京YWCAのアーカイブで、1920年代、30年代の日本YWCAのメンバーと世界基督教女子青年会のメンバーとの間の書簡などを見せていただいた。書簡類では、女性参政権などの問題について語られている訳ではないが、日本YWCAのメンバーらがどのような考え方を持って会を運営していたのかが垣間見えた。そのほかに日本YWCAの創幹事をつとめた河井道に関する史料を収集し、読み込んだ。ウォリック大学モダン・レコーズ・センターで、デジタルで一部公開されているイギリスYWCAの機関誌『Our Own Gazette』の中から日本に関する記事を抽出することができた。 日本YWCAは、先行研究などでは日本の女性参政権運動の中での存在感が薄い。しかし、機関誌『女子青年界』の記事を見れば、1920 年代の女性参政権運動においては、日本 YWCA は、女性参政権運動を率いる主役ではなかったかもしれないが、その組織の女性 たちへの啓蒙活動は女性参政権運動の一端を担っていたといえるのではないかといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
やはり研究が遅れているのは、コロナ禍における様々な要因によって、当初、計画していた海外での調査ができていないことが大きな理由である。コロナ禍以降、日本での調査に切り替えているが、求めている内容の史料にうまく出会えていないことも、研究が遅れている一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、日本基督教矯風会と日本基督教女子青年会の活動について独自に検証してきた。最後の年度にあたる今年は、日本基督教矯風会と日本基督教女子青年会という二つのキリスト教に関わる女性組織が、海外の接点を持ちながら、日本の女性参政運動にどのように関わったのかを総合的に検討したい。それによって、本研究課題の目的である第一次世界大戦終了後から第二次世界大戦勃発までの国際的な女性運動が盛り上がった1920年代、30年代に着目し、その国際的な動きの中の日本の女性運動の位置付けを考えてみたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響が続き、海外での調査ができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、海外での研究発表を考えている。そのための旅費等として使用したい。
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