2020 Fiscal Year Research-status Report
チリ先住民マプーチェの女性運動の歴史と現在―ジェンダーとエスニシティの視点から
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19K20589
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
柳原 恵 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (80837253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 先住民 / 女性運動 / 第三世界フェミニズム / ポストコロニアルフェミニズム / ラテンアメリカ / チリ / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、南米チリ共和国の先住民マプーチェの女性たちによる、ジェンダー、エスニシティ、社会階層などが重なり合った複合的な差別状況に立ち向かう動きが現れている。本研究は、「マプーチェ・フェミニズム」と呼ばれ始めたこの新しい女性運動とその担い手たちに着目し、その思想と活動の内実をとくにジェンダーとエスニシティ(民族性)の視点から明らかにすることである。新型コロナウイルス感染症とジェンダー/フェミニズムの関わりをアクチュアルな課題として検討する必要が浮上したことから、本年度はコロナ禍のチリにおけるフェミニズムの思想と活動の展開を調査した。新型コロナウイルス感染症蔓延による種々の行動制限により、主にインターネットを通じて調査を実施した。 その成果はジェンダー史学会第17回年次大会(2020年12月13日)パネルD「パンデミック期に再考する社会運動―― フェミニスト歴史学者の視座から」において「COVID-19パンデミックにおけるフェミニズム運動の視座と実践の可能性――南米チリを事例として」というタイトルで発表した。発表内容をベースに加筆修正したものを論文化、国際ジェンダー学会誌「コロナとジェンダー」特集に投稿した。本論文は現在査読中である。 パンデミックを受けて、チリにおけるシンポジウムや研究会は軒並みオンライン化されていた。このことを奇貨として、日本から現地のシンポジウム・研究会に参加し、最先端の研究状況を学ぶとともに、現地の情勢についての情報をアップデートすることができた。 また、ラテンアメリカ研究、ジェンダー研究を専門とする研究者との意見交換をオンラインで実施することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チリ共和国南部の先住民人口比率の高い地域で参与観察調査とインタビュー調査を計画していたが、新型コロナによる種々の行動制限により、現地調査が実現できなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナのパンデミックにより、渡航および現地調査を再開できる見通しが立たない状況であるため、インターネットを通じた調査を積極的に実施する。本年度実施した調査により、コロナ禍のチリにおけるフェミニズム運動はオンライン上で非常に活発化していることが明らかになった。引き続きオンライン空間におけるフェミニズムの思想と活動に関する調査を継続し、具体的な研究成果につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナによって現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が発生した。状況が改善次第、現地調査を実施する。
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