2019 Fiscal Year Research-status Report
パルス磁場によるレーザーイオン源のビーム電流波形制御と低エミッタンス化
Project/Area Number |
19K20599
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 一匡 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10707475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レーザーイオン源 / アブレーションプラズマ / 重イオンビーム / エミッタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザーイオン源は大電流イオンビームを発生可能なイオン源として注目されているがパルスレーザーによりプラズマを生成するため,その密度が時間的に変動し,それに伴ってプラズマから引き出されるイオンビームの収束性の悪化を招いている. 本研究の目的はこのプラズマ密度の時間的な変動を外部磁場の印加によって緩和し,レーザーイオン源から供給されるビームの収束性を改善する技術を確立することである. これまでにレーザーイオン源のビーム電流が低下するタイミングでパルス磁場を印加することにより, ピーク時から低下する分の電流を補償して, フラットトップのビーム電流波形に近づけるためのパルス磁場の波形やタイミングなどの条件の検討を行った. その結果, フラットトップ形状を維持するためにはプラズマがソレノイドを通過する間に磁束密度が上昇し続けるようなパルス波形を印加することが有効であることを明らかにした. さらに, パルス磁場を印加することで, 定常磁場の印加では大きなビーム電流の増加が得られなかった速度の遅い領域のプラズマのイオンを増加させることができることが明らかになった. また, パルス磁場を印加するタイミングを変化させてフラットトップの波形の時間を検討した結果より, パルス磁場を印加するタイミングを早くするほどピーク電流がやや高くなり, フラットに近い波形が得られるが平坦となっている時間は短くなることがわかった. 一方で, パルス磁場の印加タイミングを遅らせた場合にはビーム電流波形に2つのピークが現れ, 電流波形は一定に保たれないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標は, パルス磁場によってマクスウェル分布状のイオンビーム波形をフラットトップ化し, その際にビームの質を表すエミッタンスが改善出来るか調べることである. これまでの研究により, パルス磁場を発生させるソレノイドのインダクタンスや充放電するコンデンサのキャパシタンス, 充電電圧, パルス磁場印加のタイミングをパラメータとし, フラットトップのビーム電流波形を得るために必要なパルス磁場の条件の検討を行った結果, パルス磁場を用いてイオンビーム波形の制御によりフラットトップ状のビーム電流波形を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られたイオンビーム波形制御によってビームの質を表すエミッタンスがどのように変化を受けるかを明らかにする. エミッタンスの測定にはレーザー生成プラズマからイオンビームを引き出して, エミッタンス測定器より小さなスポットサイズに収束させる必要があるため, イオンビームの引き出しに関して予めシミュレーションを行い, 引き出し電極の構造や測定器までのイオンビームの輸送距離などを把握する. その結果を元に引き出し電極およびエミッタンス計測系を構築し, パルス磁場によるイオンビーム電流波形制御の有無によるビームのエミッタンスの比較を行うことによりプラズマ密度変動の緩和によるイオンビームのエミッタンス改善への有効性を調べる.
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Research Products
(5 results)