2019 Fiscal Year Research-status Report
High charge lase wakefield acceleration using high intensity few-cycle laser by ultra-wide band amplification
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19K20602
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻野 純平 大阪大学, レーザー科学研究所, 特任助教(常勤) (90821869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数サイクルレーザー / レーザー航跡場加速 / 非線形光学 / 光パラメトリック増幅 / 分光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的: レーザー航跡場加速は、高強度・超短パルスのレーザーにより形成されたプラズマを、そのレーザーパルスのポンデロモーティブ力によって励起された航跡場により、電子を瞬時に高エネルギーに加速する加速手法であり、高周波加速器に比べると加速勾配が1000倍以上高いことから、従来の加速器を大幅にコンパクト化できると期待されている。しかしながら、レーザー航跡場加速は、加速エネルギーが高周波加速器に準ずるレベルまで達成されてきている一方、加速される電荷量が比較的少ないことが課題である。数サイクルレーザーと呼ばれる数fs級の極短パルスレーザーを用いることで、電荷量が増加するという計算結果が報告されているが、数サイクルレーザーの波長帯域幅は 350nm を超えるような超広帯域であることから、レーザー航跡場加速に利用できるエネルギーまで増幅するのは非常に困難である。そこで本研究では、分光学と非線形光学を組み合わせた新しい超広帯域増幅手法として、超広帯域周波数領域OPA(optical parametric amplification)を提案した。本研究では、超広帯域周波数領域OPAの原理実証と、超広帯域周波数領域OPAを用いた大電荷のレーザー航跡場加速の実証実験を目的としている。 これまでに、超広帯域周波数領域OPAのより詳細な理論計算を行い、BBO結晶を用いて、従来のOPAに比べ同様の結晶を用いるにもかかわらず、2倍以上の増幅帯域を確保することが可能であることが分かった。BBOを用いたOPAでは、最も広帯域の増幅を行える手法であることを初めて明らかにした。また、この手法の原理実証のために増幅試験を行う予定としており、そのための励起光源の構築を完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超広帯域周波数領域OPAの原理実証のために、増幅手法の理論計算および、実験系の構築を行った。理論計算では、1)4-f系を構築オプティクスの詳細パラメータ、2)OPAのための非線形結晶の詳細パラメータ、3)励起レーザーのパラメータを表式化し、計算モデル構築を行った。信号光には、波長帯域 700-1100nm、パルス幅 < 5fs のTi:Sapphire の発振器を用いた。回折格子に、溝本数150本/mm, 4f系を構築する集光学系に焦点距離 f=100mmを用い、非線形結晶に、BBO (β-BaB2O4)、結晶厚み 5mm, 信号光の結晶軸 (c軸) 対する角度を 26.4 deg とすることで、増幅帯域500nmを確保可能であることが分かった。この帯域は、従来のOPAに比べ2倍以上の帯域である。実験系は、この計算モデルを用いて、実際に入手可能なオプティクスに準じた詳細設計を行い、構築を開始している。また、実験に用いる励起レーザーとして、液体窒素冷却のYb:YAGアクティブミラー増幅器の構築を行った。波長 1030nm, パルスエネルギー500mJ, 繰り返し周波数 100Hz を達成した。当初予定していたエネルギーからは若干低いが、本原理実証には十分である。
上記のように、理論、実験ともに計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
超広帯域周波数領域OPAの実証実験系の構築及び、レーザー航跡場加速のための超広帯域周波数領域OPAレーザーシステムの構築を行う。励起レーザーは、OPAの励起として使用するため、波長変換を行う。波長 515nm, パルスエネルギー~300mJ, 繰り返し周波数 100Hzが達成可能である。この励起強度であれば、パルス幅5fs, パルスエネルギー~30mJの数サイクルレーザーを実現可能であると考えている。 上記の整備と並行して、レーザー航跡場加速実験のための実験系の準備を進める。レーザー航跡場加速の実験系は、放物面鏡を用いてガスジェット (He)または、ガスを充填したガスセルに集光する。また、計測系は、レーザーを一部分岐して、焦点位置で光軸に対して90度の方向から入射させ、レーザー航跡場のシャドウグラフイメージを取得する。得られた電子は、蛍光板を用いたビームモニターで確認し、エネルギースペクトルメーター (ESM)で電子スペクトルを測定、イメージングプレートで電荷量を測定する構成を計画している。
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